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犬の胃腸炎とは?症状・原因・治療法【獣医師監修】

原因別の対策と予防、受診の判断基準、治療の一般的な流れをまとめて解説

約10分
胃腸炎になり少し元気がない犬

この記事の監修者

石村 拓也

石村 拓也

シリウス犬猫病院 院長

シリウス犬猫病院

東京農工大学農学部獣医学科 卒

獣医師免許川崎市獣医師会日本獣医皮膚科学会Veterinary Ear disease Practice(耳研)日本獣医輸血研究会 輸血認定コーディネーター

大切な家族といつも笑って楽しく過ごすことの手助けになれば、と思いながら今回の記事を執筆しました。 日常のちょっとした違和感に早めに気づいてあげることが、病気の重症化を防ぐ近道です。 飼い主さんや、これから飼い主になる皆さんのお役に立てていたら、とても嬉しいです。

この記事でわかること

  • 犬の胃腸炎の主な症状と緊急受診が必要なサイン
  • 胃腸炎を引き起こす原因と予防策
  • 家庭でできる対処法と治療の流れ

この記事は 約7分 で読めます。

愛犬が嘔吐や下痢を繰り返していて、元気もない様子になってしまうととても心配な気持ちになりますよね。

犬の胃腸炎は、飼い主が遭遇する最も一般的な健康トラブルの一つです。

適切な知識があれば、症状から緊急度を判断し、早期に適切な対応ができます。

犬の胃腸炎とは?主な症状と見分け方

胃腸炎とは、胃や腸の粘膜に炎症が生じる状態を指します。

犬の消化器疾患の中でも頻度が高く、保険金請求でも皮膚疾患に次いで多い疾患です。

典型的な症状

胃腸炎の主な症状は嘔吐、下痢、食欲不振です。

嘔吐は食べ物や胆汁、胃液などを吐き出し、下痢は軟便から水様便まで様々な形状を示します。

嘔吐(食べ物、胆汁、胃液)
下痢(軟便から水様便まで)
食欲低下・元気消失
腹痛(お腹を触ると嫌がる)

急性と慢性の違い

胃腸炎は発症期間によって急性と慢性に分けられます。

急性胃腸炎は突然発症し、多くは1週間以内に回復します。

一方、慢性胃腸炎は2週間以上症状が続き、治療してもなかなか完治しにくい特徴があります。

注意点

次の症状がある場合は緊急受診が必要です。大量の血便、激しい嘔吐の繰り返し、ぐったりして動かない、脱水症状(皮膚をつまんで戻りが悪い)が見られたら、すぐに動物病院へ連絡しましょう。

犬の胃腸炎の原因|なぜ発症するのか

胃腸炎の原因は多岐にわたり、特定が難しい場合も少なくありません。

しかし、主な原因を知ることで予防につながります。

食事に関連する原因

最も一般的なのが食事性の胃腸炎です。

体質に合わない食べ物や脂肪分の多い食事、急なフード変更などが胃腸を刺激します。

人間が落とした食べ物などを誤食してしまうことも多いため、注意が必要です。

豆知識

トイプードルやヨークシャーテリアなどの小型犬は、出血性胃腸炎を発症しやすい傾向があります。

感染症による原因

細菌やウイルス、寄生虫の感染も胃腸炎の原因となります。

特に子犬では、パルボウイルス感染症やジステンパーなど、ワクチンで予防できる感染症に注意が必要です。

細菌では、クロストリジウム、カンピロバクター、サルモネラなどが原因となることがあります。

ストレスと環境変化

ペットホテルへの預かりや引っ越しなど、環境の変化がストレスとなり胃腸炎を引き起こすことがあります。

季節の変わり目の気温変化も、犬の体調に影響を与えます。

その他の原因

おもちゃなどの異物誤飲、有毒植物の摂取、薬の副作用なども胃腸炎の原因となります。

また、膵炎や腫瘍など、より重篤な病気が隠れている可能性もあるため、症状が長引く場合は精密検査が必要です。

犬の胃腸炎の治し方|治療方法と治療費

胃腸炎の治療は、原因と症状の重さによって異なります。

軽度の場合は通院での対処も可能ですが、重症例では入院治療が必要です。

動物病院での診断

獣医師は問診、身体検査、便検査などを行い、原因を特定します。

必要に応じて血液検査、X線検査、超音波検査なども実施されます。

便検査では寄生虫や細菌の状態を確認し、子犬の場合はパルボウイルス検査などのウイルス検査も行われる場合もあります。

治療の流れ

1

食事の再開と水分補給

胃腸に負担をかけないよう、まずは吐き気や下痢が落ち着いてきたタイミングで、少量ずつこまめに食事を与えましょう。水分は少量ずつ与え、脱水を防ぎます。

2

対症療法

制吐剤、整腸剤、胃粘膜保護剤などを症状に応じて投与します。必要に応じて点滴で水分と電解質を補給します。

3

食事療法

症状が落ち着いたら、消化の良い特別療法食を少量ずつ与えます。徐々に通常食へ戻していきます。

中程度から重度の場合は入院治療となり、静脈点滴による集中的な水分・電解質管理が行われます。

治療費の目安

胃腸炎の治療費目安
項目 目安費用 所要・頻度 備考
初診・診察料 約1,000〜3,000円 初回のみ 病院により異なる
便検査 約1,000〜2,000円 1回 寄生虫・細菌検査
血液検査 約5,000〜15,000円 必要時 脱水状態の確認
通院治療(1回) 約5,000〜15,000円 2〜5日程度 点滴・注射・投薬込み
入院治療(1日) 約10,000〜30,000円 重症の場合 小型犬で約2,500円〜

注意点

本料金表は、公開されている統計資料・調査資料(アニコム家庭どうぶつ白書等および日本獣医師会関連資料など)をもとにした目安です。実際の診療内容・費用は動物病院ごとに異なりますので、正確な金額については必ず各動物病院にお問い合わせください。

重症で入院が必要な場合は、50,000円以上かかることもあります。

回復までの期間

軽度の急性胃腸炎であれば、適切な治療により2〜3日で改善が見られます。

原因や症状の程度によっては1週間以上かかる場合もあります。

慢性腸炎では、原因に応じて長期の投薬や食事管理が必要です。

家庭でできる対処法と受診の判断

軽度の症状であれば、家庭での適切な対処で改善することもあります。

ただし、判断を誤ると悪化する可能性もあるため、注意が必要です。

家庭での応急処置

嘔吐や下痢が軽度で、元気がある場合は以下の対処を試みます。

水は少量ずつ頻繁に与え、脱水を防ぎ、ふやかしたフードを少量から与え始めます。

注意点

子犬や高齢犬は、短時間で低血糖や脱水を起こし、命に関わることがあります。症状が見られたら早めに受診してください。

動物病院への受診タイミング

次のような症状がある場合は、すぐに動物病院へ連絡しましょう。

早めの受診推奨
  • 症状が2〜3日続いている
  • 食欲がない状態が続く
  • 異物を飲み込んだ可能性がある
  • 子犬・高齢犬・持病がある

受診時に伝えること

動物病院を受診する際は、以下の情報を整理しておくと診断がスムーズです。

症状が始まった時期、嘔吐や下痢の回数と内容、食事の変更や誤食の可能性、ワクチン接種歴などを伝えましょう。

可能であれば、便のサンプルを持参すると検査に役立ちます。

犬の胃腸炎を予防する方法

日常生活の中で、胃腸炎のリスクを減らす対策を実践しましょう。

食事管理のポイント

品質の良いドッグフードを選び、適量を守ります。

フードを変更する際は、1〜2週間かけて徐々に新しいフードを混ぜていきます。

人間用の食べ物や脂肪分の多い食事は避けましょう。

誤飲誤食の防止

生ゴミをあさることができないよう、ゴミ箱は蓋付きのものを使用します。

おもちゃや観葉植物など、飲み込みやすいものは犬の届かない場所に置きます。

散歩中は、拾い食いをしないよう注意深く見守ります。

ポイント

環境省が推奨する飼い主のためのペットフード・ガイドラインでは、適切なフード選びと与え方が解説されています。定期的に確認すると良いでしょう。

ストレス管理

急激な環境変化を避け、ストレスを軽減します。

ペットホテルの利用前には、事前に短時間の練習をすると良いでしょう。

来客やイベントの後は、犬の様子をよく観察します。

定期的な健康管理

年に1〜2回の健康診断を受け、早期発見に努めます。

ワクチン接種や寄生虫の定期的な駆虫も重要です。

よくある質問

犬の胃腸炎は人にうつりますか?

多くの犬の胃腸炎は人にうつりません。ただし、サルモネラ菌や犬回虫など一部の病原体は人畜共通感染症のため注意が必要です。愛犬の世話をした後は必ず手を洗い、特に小さな子どもとの接触には気をつけましょう。

市販の人間用の薬を犬に与えても大丈夫ですか?

絶対に与えないでください。人間用の薬の中には、犬にとって有毒なものが多く存在します。特に解熱鎮痛剤は重篤な中毒症状を起こす危険性があります。必ず獣医師が処方した薬のみを使用しましょう。

嘔吐後、いつから食事を与えてよいですか?

絶食の要否・時間は個体と原因で異なるため、獣医師の指示に従ってください。子犬・高齢犬・持病がある場合は短時間でも低血糖や脱水のリスクがあります。嘔吐がなければ、ふやかしたフードを通常量の1/4程度から与え、徐々に増やしていきます。不安な場合は獣医師に相談しましょう。

まとめ

犬の胃腸炎は嘔吐や下痢を主症状とする一般的な疾患で、食事性、感染症、ストレスなど様々な原因があります。軽度であれば2〜3日で回復しますが、大量の血便やぐったりした様子が見られたら緊急受診が必要です。日頃から適切な食事管理と誤飲防止、ストレス軽減を心がけ、定期的な健康診断とワクチン接種で予防しましょう。愛犬の様子をよく観察し、異変に気づいたら早めに獣医師に相談することが大切です。

本記事は一般的な情報提供を目的としています。症状や治療方針は個体差が大きいため、必ず獣医師等の専門家にご相談ください。

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