この記事でわかること
- 犬の膀胱炎の主な症状と緊急度の判断基準
- 膀胱炎の原因と治療法
- 自宅でできる予防法と再発防止のケア
この記事は 約8分 で読めます。
・何度もトイレに行くのに、少ししかおしっこが出ない
・血尿が出ている
・いつもと違う場所でお漏らしをしてしまう
このような症状が見られたら、膀胱炎の可能性があります。
放置すると慢性化したり重篤な合併症を引き起こすこともあるため、早めの対処が大切です。
この記事では、膀胱炎の症状の見分け方から、原因、治療法、予防策まで、飼い主さんが知っておきたい情報を詳しくご紹介します。
犬の膀胱炎とは?主な症状
膀胱炎は、尿を溜める袋である膀胱の粘膜に炎症が起きる病気です。
炎症により膀胱が刺激されるため、さまざまな排尿トラブルが現れます。
膀胱炎の代表的な症状
膀胱炎になると、次のような症状が見られます。
注意点
元気がない、食欲がない、発熱があるといった全身症状が見られる場合は、腎盂腎炎など重篤な感染症に進行している可能性があります。すぐに動物病院を受診してください。
緊急度チェックリスト
以下の症状がある場合は、すぐに動物病院を受診しましょう。
犬の膀胱炎の原因とは
犬の膀胱炎には、いくつかの原因があります。
最も多いのは細菌感染による細菌性膀胱炎で、犬の膀胱炎の大半を占めます。
細菌感染による膀胱炎
消化器や肛門周辺に常在する大腸菌やブドウ球菌などの細菌が、尿道を通って膀胱に侵入することで炎症が起こります。
メス犬は尿道が短く太いため、細菌が膀胱まで到達しやすく、膀胱炎になりやすい傾向があります。
膀胱結石による膀胱炎
膀胱内にできた結石が膀胱の粘膜を傷つけることで、炎症や出血が起こります。
結石には主に2種類あります。
- 細菌感染が原因で形成されることが多い
- 療法食で溶解できる可能性がある
- 食事のミネラルバランスや尿のpHが関与
- 溶解できないため手術が必要な場合も
その他の原因
その他にも、以下のような原因で膀胱炎が起こることがあります。
- 膀胱腫瘍(移行上皮がんなど)
- 前立腺疾患(中高齢の未去勢オス犬)
- 内分泌疾患(糖尿病、クッシング症候群など)
- 特発性膀胱炎(原因不明、ストレスが関与)
膀胱炎になりやすい犬の特徴
膀胱炎のリスクが高い犬には、いくつかの特徴があります。
特にメス犬は解剖学的な理由から膀胱炎になりやすく、中高齢犬も免疫力の低下により発症リスクが高まります。
また、ミニチュアシュナウザーやヨークシャーテリアなど、結石ができやすい犬種は、結石に伴う膀胱炎に注意が必要です。
季節と膀胱炎の関係
秋から冬にかけての寒い時期は、犬の飲水量が減少するため、膀胱炎のリスクが高まります。
水分摂取量が減ると尿が濃縮され、細菌が繁殖しやすい環境になったり、排尿回数も減るため膀胱炎が起こりやすくなります。
寒い時期は特に意識的に水分を摂らせる工夫が大切です。
犬の膀胱炎の診断方法と治療法
膀胱炎の治療は、原因に応じて異なります。
さまざまな検査によって膀胱炎の原因を探っていきます。
診断方法
動物病院では、まず次のような検査を行います。
問診と触診
いつから症状が出たか、排尿の様子などを確認し、お腹を触って膀胱の状態を調べます。
尿検査
尿中の血液、細菌、白血球、結晶の有無を確認します。最も重要な検査です。
画像検査
必要に応じてレントゲンや超音波検査で、膀胱の状態や結石の有無を確認します。
細菌培養検査
原因菌を特定し、効果的な抗菌薬を選択するための検査です。
原因に応じた主な治療法
膀胱炎の治療は、原因によって内容が変わります。代表的なものは次の通りです。
① 細菌感染が原因の膀胱炎
尿検査や培養検査で細菌が確認されたら、抗菌薬で治療します。症状が治まっても自己判断で中止せず、獣医師の指示に従いながら服用しましょう。
② 結晶・結石が関わる膀胱炎
結晶・結石が見つかった場合は、種類に合った療法食や場合によっては手術で対応します。再発しやすいため、食事管理と定期的な尿検査が大切です。
③ 腫瘍など膀胱自体の病気が原因の膀胱炎
腫瘍などが疑われるときは、追加検査を行い、手術や薬などから治療方針を検討します。
④ ストレスやその他の要因が関わる膀胱炎
細菌や結石が見つからない場合は、トイレ環境や生活環境の見直しを行い、必要に応じて痛みや炎症を抑える薬を使います。
どの場合でも、自己判断で通院や薬をやめると再発・慢性化につながることがあるため、気になる症状が続くときは早めに動物病院に相談しましょう。
細菌性膀胱炎の治療薬
細菌性膀胱炎の治療には、主に抗菌薬が使用されます。
ポイント
症状が改善しても、獣医師の指示通り最後まで薬を飲ませることが重要です。自己判断で中断すると、耐性菌が発生したり再発の原因となります。
治療期間と経過観察
治療の種類によって、期間は異なります。
- 単純性細菌性膀胱炎:2~3週間の抗菌薬投与
- 複雑性(再発性)膀胱炎:1〜2ヶ月以上の治療が必要な場合も
- 結石による膀胱炎:結石の溶解や手術が必要な場合もあり
散発性で臨床症状が消失した場合、治療後のルーチンの培養・再検は必須ではありません。一方、再発性/複雑性、初期培養で耐性懸念があった場合などは、治療後の再検査(尿検査・培養)が検討されることもあります。
治療費の目安
| 項目 | 目安費用 | 所要・頻度 | 備考 |
|---|---|---|---|
| 初診料・診察料 | 約1,000〜3,000円 | 1回 | 病院により異なる |
| 尿検査 | 約1,500〜3,000円 | 初回・治療後 | 採尿方法で変動 |
| 超音波検査 | 約4,000〜6,000円 | 必要時 | 結石確認など |
| 細菌培養検査 | 約10,000円前後 | 必要時 | 薬剤選択のため |
| 抗菌薬(14日分) | 約2,000〜3,000円 | 1〜2週間 | 犬の体重で変動 |
注意点
本料金表は、公開されている統計資料・調査資料(アニコム家庭どうぶつ白書等および日本獣医師会関連資料など)をもとにした目安です。実際の診療内容・費用は動物病院ごとに異なりますので、正確な金額については必ず各動物病院にお問い合わせください。
膀胱炎の診療費は病院や検査内容で幅があります。国内データでは、犬の膀胱炎の年間診療費は平均23,095円(中央値13,090円)、年間診療回数は平均2.8回と報告されています。
複雑性膀胱炎や結石がある場合は、さらに高額になる可能性があります。
自宅でできる予防法と再発防止のケア
膀胱炎は体質や生活習慣によって再発しやすい病気です。
日常生活で気をつけることで、予防・再発防止につながります。
水分摂取を増やす工夫
十分な水分を摂取することで、膀胱内の細菌が洗い流され、膀胱炎の予防になります。
排尿を我慢させない環境づくり
尿が膀胱に長時間溜まると、細菌が繁殖しやすくなります。
室内トイレの整備
清潔で落ち着いた場所にトイレを設置し、常に清潔に保ちます。
散歩の回数を増やす
外でしか排泄しない犬の場合、朝晩以外にも短時間の散歩を取り入れます。
排尿のタイミングを観察
愛犬の排尿リズムを把握し、我慢する時間を短くする工夫をします。
陰部周りの清潔を保つ
特に介護の関係でオムツを使用する際は、陰部周りを清潔に保つことが大切です。
- 排泄後はペット用ウェットティッシュで優しく拭く
- お尻周りの毛を短くトリミングする
- オムツは、こまめに交換する
食事管理のポイント
結石による膀胱炎の場合は、食事管理も重要です。
豆知識
ストルバイト結石は尿のpHをコントロールする療法食で溶解できる可能性があります。獣医師の指示に従って適切な食事を与えましょう。
よくある質問
膀胱炎は人間にうつりますか?
犬の膀胱炎が人間にうつることはありません。犬の膀胱炎を引き起こす細菌は、犬の体内や環境に常在するもので、人間への感染リスクはほとんどないため安心してください。
膀胱炎を放置するとどうなりますか?
放置すると慢性化したり、腎盂腎炎などの重篤な感染症に進行する可能性があります。また、結石が尿道を塞いで急性腎不全を引き起こす危険もあるため、早めに受診することが大切です。
オス犬は膀胱炎にならないのですか?
オス犬も膀胱炎になります。ただし、メス犬に比べて尿道が長いため細菌感染のリスクは低いです。去勢していないオス犬の場合、前立腺疾患に伴う膀胱炎に注意が必要です。
まとめ
犬の膀胱炎は約14%の犬が経験する一般的な病気で、頻尿・血尿・トイレ以外での排泄が主な症状です。メス犬や中高齢犬に多く見られ、原因の多くは細菌感染によるものです。 日常生活では水分摂取を増やし、排尿を我慢させない環境づくりが予防につながります。症状が見られたら早めに動物病院を受診し、獣医師の指示に従って最後まで治療を続けることが大切です。
本記事は一般的な情報提供を目的としています。症状や治療方針は個体差が大きいため、必ず獣医師等の専門家にご相談ください。
