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犬の関節炎とは?症状・原因・治療法【獣医師監修】

散歩を嫌がる・足を引きずるのは関節炎のサイン?原因から対処法まで徹底解説

約9分
犬の関節炎に悩む犬の表情を捉えた温かい写真

この記事の監修者

石村 拓也

石村 拓也

シリウス犬猫病院 院長

シリウス犬猫病院

東京農工大学農学部獣医学科 卒

獣医師免許川崎市獣医師会日本獣医皮膚科学会Veterinary Ear disease Practice(耳研)日本獣医輸血研究会 輸血認定コーディネーター

大切な家族といつも笑って楽しく過ごすことの手助けになれば、と思いながら今回の記事を執筆しました。 日常のちょっとした違和感に早めに気づいてあげることが、病気の重症化を防ぐ近道です。 飼い主さんや、これから飼い主になる皆さんのお役に立てていたら、とても嬉しいです。

この記事でわかること

  • 犬の関節炎とは何か、初期症状のチェック方法
  • 関節炎の原因と進行メカニズム
  • 診断方法と治療の選択肢、治療費の目安
  • 日常でできる予防法と生活環境の整え方

この記事は 約7分 で読めます。

犬の関節炎とは?原因と症状を知ろう

関節炎の基本メカニズム

関節炎とは、骨と骨をつなぐ関節に炎症が起き、腫れや痛みを引き起こす病気です。

犬の関節は、骨の接合面に軟骨があり、動きを滑らかにしています。

この軟骨が何らかの原因で損傷すると、炎症が発生します。

その結果、関節の構造や機能に障害が起こり、痛みや可動域の制限が生じるのです。

ポイント

成犬の約20%が変形性関節症(OA)に罹患すると報告され、5頭に1頭は関節に問題を抱えている計算になります。決して珍しい病気ではありません。

主な原因

犬の関節炎の原因は、大きく分けて3つあります。

加齢による変化

年齢を重ねるにつれ、関節軟骨は徐々にすり減っていきます。

長年の負荷が蓄積され、関節炎を発症しやすくなります。

統計によると、10歳以上の犬の約半数に関節の問題があるとされています。

肥満による負荷

体重が増えると、関節にかかる負担が大きくなります。

特に膝や腰などの関節は、体重を支えるために常に負荷がかかっています。

適正体重を超えると、関節軟骨の摩耗が早まり、関節炎のリスクが高まります。

遺伝的要因と外傷

股関節形成不全や肘関節形成不全など、先天的な関節の異形成も関節炎の原因となります。

また、事故や激しい運動による外傷も、関節炎につながることがあります。

約20%
成犬の変形性関節症罹患率
10歳以上
10歳以上では関節疾患の頻度が上がる
との報告あり

関節炎になりやすい犬種

大型犬は体重が重いため、関節への負担が大きく、関節炎を発症しやすい傾向があります。

特にゴールデン・レトリバー、ラブラドール・レトリバー、ジャーマン・シェパード、バーニーズ・マウンテン・ドッグなどが該当します。

ただし、小型犬でも関節炎は発症します。

例として、ミニチュア・ダックスフンドは、免疫が関与するリウマチ性関節炎を発症しやすい犬種といわれています。

初期症状を見逃さない!関節炎のサインとは

こんな行動に注意

犬は痛みを隠す本能があるため、初期症状は見逃されやすい傾向があります。

以下のような行動が見られたら、関節炎の可能性を疑いましょう。

散歩を嫌がる、途中で座り込む
立ち上がるのに時間がかかる(特に朝や長時間休んだ後)
足を引きずる、かばうように歩く
階段の上り下りを嫌がる
遊びに興味を示さなくなる
足を触ると嫌がる、痛がる
性格が変わる(攻撃的になる、引っ込み思案になる)

注意点

症状が老化現象と似ているため、見逃されるケースが多いです。「年のせいだから仕方ない」と思わず、異変に気づいたら早めに獣医師に相談しましょう。

自宅でできる簡単チェック

日常生活の中で、愛犬の様子を観察することが大切です。

普段から散歩中の歩き方や、起き上がるときの動きを見ておくことで、小さな変化にも気づきやすくなります。

また、定期的に関節を優しく触って、腫れや熱感がないか確認しましょう。

痛がる様子が見られたら、獣医師の診察を受けることをお勧めします。

関節炎の診断方法と治療の選択肢

動物病院での診断の流れ

関節炎の診断は、いくつかの段階を経て行われます。

1

問診

症状がいつから出始めたか、どのような行動の変化があるかを獣医師に詳しく伝えます。

2

触診

獣医師が関節を触って、腫れや痛み、可動域を確認します。

3

レントゲン検査

関節の状態を画像で確認し、骨や軟骨の異常、変形の程度を評価します。

4

その他の検査

必要に応じて、エコー検査、CT検査、関節液検査、血液検査などを行います。

治療法の種類

関節炎の治療は、症状の緩和と進行を抑えることが目標となります。

薬物療法

痛みや炎症を抑えるために、非ステロイド性消炎鎮痛剤(NSAIDs)が第一選択薬として使用されます。

また、最近では月1回の注射で痛みを緩和する抗体製剤も登場しています。

これらの薬は、痛みを和らげ、犬がなるべく普段通りの生活を送れるようサポートします。

サプリメント

グルコサミンやコンドロイチン、オメガ3脂肪酸などのサプリメントが、関節の健康維持に使用されます。

これらは軟骨の修復を助け、炎症を抑える効果が期待されます。

理学療法・リハビリ

温熱療法やマッサージ、適度な運動により、関節の柔軟性を保ちます。

ただし、急性期には悪化する可能性もあるため、獣医師の指導のもとで行うことが重要です。

治療費の目安

関節炎の診断・治療にかかる費用の目安
項目 費用目安 頻度・備考
初診・問診 1,000〜3,000円 初回のみ
レントゲン検査 5,000〜15,000円 撮影枚数により変動
血液検査 5,000〜10,000円 薬物療法開始時など
MRI・CT検査 30,000〜150,000円 詳細な診断が必要な場合
痛み止め(月額) 3,000〜10,000円 継続的に必要
サプリメント(月額) 3,000円〜 継続的に使用
定期通院(1回) 3,000〜8,000円 月1〜2回程度

注意点

本料金表は、公開されている統計資料・調査資料(アニコム家庭どうぶつ白書等および日本獣医師会関連資料など)をもとにした目安です。実際の診療内容・費用は動物病院ごとに異なりますので、正確な金額については必ず各動物病院にお問い合わせください。

関節炎のような慢性疾患では継続的な治療が必要となり、費用がかさむ傾向があります。

日常でできる関節炎の予防法とケア

体重管理が最も重要

肥満は関節炎のリスク因子の一つです。

適正体重を維持することで、関節への負担を大幅に減らすことができます。

愛犬の体格に合った食事量を守り、おやつの与えすぎに注意しましょう。

去勢・避妊手術をした犬は体重が増えやすい傾向があるため、特に注意が必要です。

適度な運動を続ける

過度な運動は関節に負担をかけますが、運動不足も筋力低下につながり、関節を支える力が弱まります。

犬種や年齢、体格に応じた適度な運動を取り入れることが大切です。

散歩は、関節の柔軟性を保ち、筋肉を維持するために有効です。

ただし、関節炎を発症している場合は、獣医師と相談しながら運動量を調整しましょう。

豆知識

水泳は関節への負担が少なく、筋力を維持するのに適した運動です。プールやリハビリ施設がある動物病院もあるので、活用してみるのもよいでしょう。

生活環境を整える

日常生活の中で、関節に負担をかけない工夫が予防につながります。

床を滑りにくい素材にする(カーペットやマットを敷く)
段差にスロープを設置する
寝床を快適にする(適度な硬さのベッドを使用)
室温を適切に保つ(寒さは関節の痛みを悪化させます)

定期健康診断を受ける

関節炎は慢性疾患のため早期発見し、早めに治療を開始してあげることが重要です。

年に1〜2回の定期健康診断を受けることで、関節の異常を早期に発見できます。

特に7歳以上のシニア犬は、定期的なチェックが推奨されています。

よくある質問

関節炎は完治しますか?

残念ながら、関節炎は進行性の病気で、完治させることは難しいとされています。しかし、早期に適切な治療とケアを行うことで、症状の進行を遅らせ、痛みをコントロールすることは可能です。多くの犬が、治療により生活の質を保ちながら過ごしています。

若い犬でも関節炎になりますか?

はい、若齢でも遺伝的要因や外傷等により発症することがあります。 若い犬でも、足を引きずるなどの症状が見られたら、早めに獣医師に相談しましょう。

サプリメントだけで治療できますか?

サプリメントは関節の健康維持に役立ちますが、それだけで関節炎を治療することは難しいです。痛みが強い場合は、痛み止めなどの薬物療法が必要になります。サプリメントは、薬物療法や体重管理、運動療法と組み合わせて使用することで効果を発揮します。獣医師と相談しながら、総合的な治療計画を立てましょう。

まとめ

犬の関節炎は、成犬の約20%が抱える一般的な病気です。散歩を嫌がる、立ち上がりが遅い、足を引きずるなどの症状が見られたら、早めに獣医師に相談しましょう。進行性の病気で完治は難しいものの、早期発見と適切な治療により、痛みをコントロールしながら生活の質を保つことができます。体重管理と適度な運動、生活環境の改善が予防の鍵となります。愛犬の小さな変化を見逃さず、定期的な健康診断を受けることで、関節の健康を守りましょう。

本記事は一般的な情報提供を目的としています。症状や治療方針は個体差が大きいため、必ず獣医師等の専門家にご相談ください。

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