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犬の予防医療ガイド【ワクチン・健康診断】

年1回の健康診断が愛犬の寿命を延ばす|実施内容と年間スケジュールを解説

約10分
健康診断を受ける犬

この記事の監修者

葛野 莉奈

葛野 莉奈

かどのペットクリニック 院長

かどのペットクリニック

麻布大学獣医学部獣医学科 卒

獣医師免許ながたの皮膚科塾修了

日常生活の中で、知っておくと安心できることや気を付けておくべきことなどを発信できたらと思っています。 この記事が、「知らなかった!」ということを解決するお役に立てたらうれしいです。 人間と全く異なる生き物であるため、お互いのことをよく知り合って、適切な信頼関係を築けると、一緒に過ごす時間がより充実したものになると思います。 ぜひペットさんたちとの時間を、より楽しいものにしていただけたらと思います!

この記事でわかること

  • 犬の予防医療の種類と必要性
  • 定期健診の内容・費用・頻度
  • 年間予防スケジュールの立て方

この記事は 約8分 で読めます。

愛犬が最近食欲不振になって動物病院を受診したとき、「もっと早く気づけたら」と感じたことはありませんか。

犬は人間の約4倍の速さで歳を取り、言葉で不調を訴えることができません。

そのため、病気の早期発見と予防には定期的な健康診断が欠かせないのです。

本記事では、犬の予防医療の基本から定期健診の具体的な内容、費用の目安、そして年間スケジュールまでを詳しく解説します。

犬の予防医療とは?種類と必要性

予防医療とは、病気になる前に適切な対策を行うことで、愛犬の健康を守る取り組みです。

具体的には、ワクチン接種、フィラリア予防、ノミ・ダニ対策、そして定期健診の4つが主な柱となります。

ポイント

犬の1年は人間の約4歳分に相当します(※成長初期や大型犬では当てはまらないこともあり)。年1回の健康診断でも、人間に換算すると4年に1回の頻度となるため、決して多すぎることはありません。

予防医療の主な種類

犬の予防医療には、法律で義務付けられているものと、任意で行うものがあります。

狂犬病予防接種は法律で年1回の接種が義務化されています。

混合ワクチンは任意ですが、ジステンパーやパルボウイルスなど重篤な感染症を予防するために推奨されています[2]

狂犬病予防接種(年1回・法律で義務化)
混合ワクチン接種(年1回または抗体検査による判断)
フィラリア予防(蚊の発生時期に月1回投薬)
ノミ・ダニ予防(通年または春から秋)
定期健康診断(年1回以上)

なぜ予防医療が重要なのか

近年、犬の平均寿命は大きく延びています。

アニコム家庭どうぶつ白書2024によると、犬の平均寿命は14.2歳に達しています[3]

長寿化に伴い、高齢犬の診療費も増加傾向にあります。

15歳の犬の年間平均診療費は、1歳の犬と比べて約4.7倍に増加することが分かっています[3]

14.2歳
犬の平均寿命
4.7倍
15歳の年間診療費(1歳比)

予防医療を適切に実施することで、病気の早期発見と重症化の防止につながり、結果的に医療費の負担軽減も期待できます。

定期健診の内容と費用はいくら?

定期健診は、愛犬の健康状態を定期的にチェックする重要な予防医療です。

検査項目は年齢や健康状態によって異なりますが、基本的な内容を理解しておくことで適切な検査を選択できます。

基本的な検査項目

犬の健康診断には、身体検査、血液検査、尿検査、便検査などの基本項目があります。

身体検査では、獣医師が全身を触診し、心臓や肺の音、関節の状態などを確認します。

血液検査では、貧血や炎症、肝機能や腎機能の状態を調べることができます。

1

問診・視診・触診

普段の様子や気になることを獣医師に伝え、全身状態をチェックします。心臓や肺の音も確認します。

2

血液検査

貧血や炎症の有無、肝臓・腎臓機能、高脂血症などを調べます。早期発見に最も有効な検査です。

3

尿検査・便検査

尿検査で腎臓や膀胱の状態を、便検査で寄生虫や消化状態を確認します。当日の朝に採取したものを持参します。

4

画像検査(必要に応じて)

レントゲンや超音波検査で内臓の状態を詳しく調べます。シニア期には特に推奨されます。

健康診断の費用目安

日本獣医師会の令和3年度調査によると、健康診断(1日ドック)の費用は中央値で16,250円となっています[4]

検査内容や動物病院によって幅があり、基本的な検査のみなら数千円から、詳細な検査を含むと数万円を超え高額になることもあります。

事前にかかりつけの動物病院で、健康診断の項目や費用を確認しておくと安心です。

注意点

健康診断はペット保険の補償対象外となることが一般的です。ただし、検査で病気が見つかった場合の治療費は保険適用となる場合があります。

健康診断を受けるタイミング

生後6ヶ月から1歳までは予防接種などで月1回程度動物病院を訪れるため、その際に健康チェックを受けることができます。

満1歳を過ぎたら、年1回の定期健診を開始するのが理想的です。

7歳を超えるシニア期には、病気のリスクが高まるため、年2回の健康診断が推奨されます[4]

成犬期(1〜7歳)
  • 年1回の定期健診
  • 基本的な検査項目
  • 春の狂犬病予防接種時がおすすめ

年間予防スケジュールの立て方

予防医療を計画的に実施するには、年間スケジュールを立てることが大切です。

季節ごとに必要な予防項目を整理することで、漏れなく実施できます。

春(3〜5月)に行うこと

春は予防医療のスタートシーズンです。

狂犬病予防接種は4月から6月の間に実施する自治体が多く、この時期に健康診断も同時に受けると効率的です。

また、フィラリア予防は蚊の発生時期に合わせて開始します。

関東地方では4月頃から予防薬の投与を始め、12月まで継続するのが一般的です。

豆知識

フィラリア予防薬は、蚊に刺されて体内に入った幼虫を駆除する薬です。感染を完全に防ぐものではないため、毎月確実に投薬することが重要です。

夏(6〜8月)に行うこと

夏は暑さ対策と並行して、フィラリア予防とノミ・ダニ予防を継続します。

ノミ・ダニは気温が高い時期に活発になるため、特に注意が必要です。

春から予防を開始している場合は、月1回の投薬を忘れずに続けましょう。

秋(9〜11月)に行うこと

秋はフィラリア予防の最終段階です。

12月まで確実に投薬を継続することが大切です。

また、シニア期の犬は、この時期に2回目の健康診断を受けるのがおすすめです。ノミダニ予防も忘れずに行いましょう。

冬(12〜2月)に行うこと

冬は比較的予防項目が少ない時期ですが、春に向けた準備期間として活用できます。

また、温暖化により、地域によっては冬でもノミやマダニが活発に活動しているケースもあります。ライフスタイルに合った予防を行いましょう。

混合ワクチンの接種時期を確認し、必要に応じて抗体検査を検討しましょう。

世界小動物獣医師会のガイドラインでは、コアワクチンの抗体が十分な場合は、毎年の接種を見送ることも推奨されています[2]

3月: フィラリア血液検査、健康診断(春の健診キャンペーン活用)

4月: 狂犬病予防接種、ノミ・ダニ予防開始

4〜11月: フィラリア予防薬を月1回投与、ノミ・ダニ予防継続(地域差が大きい)

12月: フィラリア予防最終投薬、ノミ・ダニ予防終了(地域差が大きい)

1月: 混合ワクチン接種(または抗体検査)

予防医療の費用を抑えるコツ

予防医療は年間を通じて実施するため、費用が気になる方も多いでしょう。

春の健診キャンペーンを利用すると、通常より割安に健康診断を受けられることがあります。

また、動物病院によっては予防パッケージを提供しており、個別に実施するより費用を抑えられる場合があります。

ポイント

予防医療の費用は動物病院によって異なります。事前に電話で確認し、複数の病院を比較検討することをおすすめします。ただし、費用だけでなく、通いやすさや信頼関係も重要な選択基準です。

よくある質問

室内飼いの犬でもフィラリア予防は必要ですか?

はい、室内飼いでもフィラリア予防は必要です。蚊は窓やドアの開閉時に室内に侵入するため、完全に感染を防ぐことはできません。フィラリア症は心臓に寄生する重篤な病気であり、発症すると治療が困難になるため、確実に予防しましょう。

混合ワクチンは毎年接種しなければいけませんか?

コアワクチン(ジステンパー、パルボウイルス、アデノウイルス)については、抗体検査で免疫が十分に維持されていれば、毎年の接種を見送ることも可能です[2]。ただし、ペットホテルやドッグランの利用にはワクチン証明書が必要な場合があるため、かかりつけの獣医師と相談して決めましょう。

健康診断の前日は絶食が必要ですか?

血液検査や超音波検査を含む場合は、検査前夜から絶食が必要になることがあります。動物病院によって指示が異なるため、予約時に必ず確認しましょう。一般的には、検査当日の朝は食事を与えず、水は少量なら問題ないとされています。

まとめ

犬の予防医療は、愛犬の健康寿命を延ばすために欠かせない取り組みです。定期健診は年1回(シニア期は年2回)が多くの獣医師に推奨される目安となっています。狂犬病予防接種、混合ワクチン、フィラリア予防、ノミ・ダニ対策を年間スケジュールに組み込み、計画的に実施することで、病気の早期発見と重症化の予防につながります。春の健診キャンペーンや予防パッケージを活用すれば、費用を抑えながら適切な予防医療を受けることができます。

本記事は一般的な情報提供を目的としています。症状や治療方針は個体差が大きいため、必ず獣医師等の専門家にご相談ください。

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