この記事でわかること
- 犬の耳の構造と外耳炎になりやすい理由
- 適切な耳ケアの頻度と基本ポイント
- やってはいけないNG行為と動物病院に行くべきサイン
この記事は 約7分 で読めます。
「愛犬の耳掃除、どうやったらいいの?」ペットショップで耳ケアの必要性を聞いたものの、具体的な方法がわからず不安になっていませんか。
特にトイプードルのような垂れ耳の犬種は、耳の中が蒸れやすく外耳炎のリスクが高いため、適切なケアが欠かせません。
この記事では、初心者の飼い主さんでも安心して実践できる耳ケアの頻度、やってはいけないNG行為、そして動物病院に連れて行くべき症状の見分け方まで詳しく解説します。
犬の耳の構造と外耳炎について
犬の耳ケアを始める前に、まず犬の耳の構造を理解しておきましょう。
人間の耳と犬の耳では構造が大きく異なります。人間の外耳道はほぼまっすぐですが、犬の外耳道はL字型に折れ曲がっている特殊な形状です。
耳の入り口から縦方向に延びる「垂直耳道」と、その奥から鼓膜まで横方向に延びる「水平耳道」で構成されています。この構造により、通気性が悪く耳垢や汚れがたまりやすいのです。
ポイント
犬の外耳道はL字型のため、人間のように綿棒で奥まで掃除することは危険です。見える範囲のケアだけで十分なのです。
外耳炎は犬に最も多い病気のひとつ
外耳炎とは、耳の入り口から鼓膜までの外耳道に炎症が起こる病気です。
[1]アニコム家庭どうぶつ白書によると、疾患別保険金請求額の順位でも上位に位置し、全体の15.6%を占めています。つまり、約6頭に1頭が1年間のうちに外耳炎で動物病院を受診していることになります。
外耳炎を引き起こす原因は多岐にわたりますが、最も多いのはアレルギー性皮膚炎です。その他にも、細菌やマラセチア(真菌)の繁殖、耳ダニの寄生、異物の混入、耳掃除のしすぎによる外耳道の損傷なども原因となります。
外耳炎になりやすい犬種
すべての犬種で外耳炎のリスクはありますが、特に注意が必要な犬種があります。
トイプードルのように垂れ耳で耳の中に毛が多い犬種は、耳の中が蒸れやすく特に注意が必要です。
耳ケアの適切な頻度とポイント
基本的な耳ケアの頻度
耳ケアの頻度は、犬の耳の状態や犬種によって異なります。
健康な耳で特にトラブルがない場合、月に1〜2回程度で十分です。ただし、耳の汚れチェックは週1回程度行い、汚れがあればその都度軽く拭き取ります。
- 耳ケア:月1〜2回
- チェック:週1回
- 夏場は頻度を増やす
- 耳ケア:汚れたとき
- チェック:週1回
- 定期的に外側に出てきた汚れをふき取る
梅雨や夏など湿度の高い時期は、耳が蒸れやすく外耳炎のリスクが高まるため、チェックの頻度を増やすことをおすすめします。
自宅での耳ケアの基本
自宅でできる耳ケアは、イヤークリーナー(犬用耳洗浄液)とコットンを使った簡単な方法です。
基本的な流れは次の通りです。
- 耳の状態をチェック(赤みや腫れがないか確認)
- イヤークリーナーを人肌に温める
- 耳にイヤークリーナーを数滴垂らして、耳の付け根を軽くマッサージ
- 犬が自然に頭を振って汚れを外に出す
- コットンで見える範囲の汚れを優しく拭き取る
重要なのは、見える範囲だけを優しく拭くことです。奥まで無理に掃除しようとしないでください。
注意点
耳掃除のしすぎは逆効果です。最近では、過度な耳掃除が原因で外耳炎になるケースが増えているといわれています。犬の耳には自浄作用があるため、やりすぎは禁物です。
豆知識
子犬の頃から耳に触られることに慣れさせておくと、成犬になってからのケアがスムーズになります。遊びの中で耳を優しく触る練習をしてみましょう。
絶対にやってはいけないNG行為
良かれと思って行ったケアが、実は愛犬の耳を傷つけていることがあります。
以下のNG行為は絶対に避けましょう。
1. 綿棒や耳かきを使う
綿棒や耳かきで耳の奥を掃除するのは危険です。
外耳道を傷つけたり、耳垢を奥に押し込んでしまい、かえって外耳炎の原因になります。犬の外耳道はL字型なので、奥まで見えず、思わぬところを傷つけるリスクが高いのです。
どうしても奥の汚れが気になる場合は、動物病院で処置してもらいましょう。
2. 消毒用アルコールやウェットティッシュを使う
消毒用アルコールは刺激が強すぎて、耳の皮膚のバリア機能を低下させます。
また、人間用のウェットティッシュには刺激の強い成分が含まれていることもあるため、使用は避けてください。
水で耳の中を洗い流す方法も、耳の中に湿気が残ってトラブルの原因になるので行わないようにしましょう。
必ず犬用のイヤークリーナーを使ってケアしましょう。
3. 耳掃除をしすぎる
「毎日きれいにしてあげたい」という気持ちはわかりますが、耳掃除のしすぎは逆効果です。
耳には皮脂を分泌して汚れを外に排出する自浄作用が備わっています。過度な掃除はこの機能を阻害し、外耳道を傷つける原因になります。
4. 無理やり耳毛を抜く
トイプードルなどの耳の中に毛が多い犬種では、耳毛を抜くことがあります。
しかし、自宅で無理に抜こうとすると皮膚を傷つけるリスクがあります。耳毛が気になる場合は、トリミングサロンや動物病院で相談しましょう。
5. 嫌がる犬を無理やり押さえつける
耳掃除を嫌がる犬を無理に押さえつけると、耳ケアがトラウマになってしまいます。
嫌がる場合は無理せず、おやつを使いながら少しずつ慣らしていくか、動物病院やトリミングサロンに任せるのが賢明です。
動物病院に行くべき症状とは
以下のような症状が見られたら、自己判断でケアせず、すぐに動物病院を受診しましょう。
これらの症状は外耳炎やその他の耳の病気のサインです。[2]外耳炎を放置すると、中耳炎や内耳炎に進行し、平衡感覚に影響が出たり、最悪の場合は外耳道切除術という大がかりな手術が必要になることもあります。
早期発見・早期治療が重要ですので、少しでも異変を感じたら動物病院を受診しましょう。
動物病院での耳掃除の費用
自宅での耳ケアが不安な方や、耳が汚れやすい犬の場合は、定期的に動物病院で耳掃除をしてもらうのも一つの方法です。
トリミングサロンでも耳掃除を行っていますが、病気のチェックは動物病院でないとできません。月1回程度、動物病院で耳の状態を確認してもらうと安心です。
よくある質問
立ち耳の犬種は耳掃除しなくても大丈夫ですか?
立ち耳の犬種はたれ耳の犬種と比較して、外耳炎などになりにくい場合が多いですが、皮膚の性質によって、予防のためにこまめなケアが必要な場合もあります。週1回程度のチェックは行い、汚れがあれば見える範囲を軽く拭き取ってあげましょう。全く掃除しないのではなく、「必要なときだけ掃除する」というスタンスが大切です。
耳の中の毛は抜いた方がいいですか?
トイプードルなど耳の中に毛が多い犬種では、耳毛が通気性を悪くして外耳炎のリスクを高めることがあります。ただし、自宅で無理に抜くと皮膚を傷つける可能性があるため、トリミングサロンや動物病院で相談して処置してもらいましょう。すべての犬で耳毛を抜く必要があるわけではありません。
耳掃除の後、犬が耳を掻くのは大丈夫ですか?
耳掃除直後に少し気にする程度であれば問題ありませんが、頻繁に掻いたり、赤みが出たりする場合は、イヤークリーナーが合っていないか、耳ケアの仕方が誤っている、外耳道の傷がついている可能性があります。症状が続く場合は動物病院を受診してください。また、アレルギー体質の犬は使用前に獣医師に相談することをおすすめします。
まとめ
犬の耳ケアは月1〜2回程度が適切です。犬の外耳道はL字型で汚れがたまりやすいため、特にトイプードルなどの垂れ耳犬種は注意が必要です。自宅でのケアは、イヤークリーナーとコットンを使い、見える範囲を優しく拭き取るだけで十分。綿棒の使用や耳掃除のしすぎは外耳炎の原因になるため避けましょう。赤みや悪臭、頻繁に耳を掻くなどの症状が見られたら、早めに動物病院を受診することが大切です。週1回の耳チェックを習慣にして、愛犬の耳の健康を守りましょう。
本記事は一般的な情報提供を目的としています。症状や治療方針は個体差が大きいため、必ず獣医師等の専門家にご相談ください。
