ガイド

犬の歯磨き・口腔ケアのやり方ガイド

初心者でもできる愛犬の歯磨き習慣化のコツと正しい方法

約10分
歯磨きを楽しむゴールデンレトリーバー

この記事の監修者

葛野 莉奈

葛野 莉奈

かどのペットクリニック 院長

かどのペットクリニック

麻布大学獣医学部獣医学科 卒

獣医師免許ながたの皮膚科塾修了

日常生活の中で、知っておくと安心できることや気を付けておくべきことなどを発信できたらと思っています。 この記事が、「知らなかった!」ということを解決するお役に立てたらうれしいです。 人間と全く異なる生き物であるため、お互いのことをよく知り合って、適切な信頼関係を築けると、一緒に過ごす時間がより充実したものになると思います。 ぜひペットさんたちとの時間を、より楽しいものにしていただけたらと思います!

この記事でわかること

  • 犬の口腔ケアが必要な理由と重要性
  • 歯磨きの正しい手順と頻度
  • 口臭対策と予防方法

この記事は 約8分 で読めます。

最近、愛犬の口臭が気になっていませんか。

個体差はありますが、かみ合わせやお口の環境などの影響もあり、3歳以上の犬のうち約80%が歯周病の予備軍と言われています。

人間の5倍のスピードで歯石ができるとされている犬にとって、口腔ケアは健康寿命を延ばすために欠かせません。

この記事では、初心者でもすぐに始められる犬の口腔ケアの正しいやり方を、具体的な手順とともにご紹介します。

犬の口腔ケアが必要な理由

犬の口腔環境は、人間とは大きく異なります。

犬の口内はアルカリ性のため、虫歯にはなりにくい反面、歯石が非常につきやすい特徴があります。

歯垢が歯石に変わるまでの期間は、人間が約25日かかるのに対し、犬はわずか3〜5日です。[2]

80%
3歳以上の犬の歯周病罹患率
3〜5日
歯垢が歯石に変わる期間

歯周病が全身に及ぼす影響

歯周病は口の中だけの問題ではありません。

歯周病菌が血液を通じて全身に広がると、心臓や肝臓、腎臓などの臓器に悪影響を及ぼすことが研究で明らかになっています。[3]

特に小型犬では、歯周病の進行により下顎骨が溶けて骨折するケースも報告されています。

注意点

口臭が強くなったり、歯茎が赤く腫れている場合は、すでに歯周病が進行している可能性があります。早めに動物病院を受診しましょう。

犬の口腔ケアの正しいやり方と頻度

効果的な口腔ケアを行うには、正しい手順と適切な頻度が重要です。

ここでは、初心者でも実践できる具体的な方法をステップごとに解説します。

理想的なケアの頻度

歯磨きは毎日1回行うのが理想的です。

難しい場合でも、最低限2〜3日に1回は行いましょう。

歯垢が歯石に変わる前にケアすることで、歯周病を効果的に予防できます。

ポイント

毎日の習慣にすることで、愛犬も飼い主も歯磨きに慣れやすくなります。食後や就寝前など、決まった時間に行うのがおすすめです。

歯磨きトレーニングのステップ

いきなり歯ブラシを使うと、多くの犬は嫌がってしまいます。

段階的なトレーニングで、歯磨きを「楽しい時間」として認識させることが成功の鍵です。

1

口周りを触る練習

まずは口の周りを優しく撫でることから始めます。触らせてくれたら、すぐに褒めておやつをあげましょう。

2

唇をめくる練習

慣れてきたら、唇を軽くめくって歯を見せる練習をします。数秒間できたら褒めてあげます。

3

ガーゼで歯を拭く

ぬるま湯で湿らせたガーゼを指に巻き、前歯から優しく拭きます。犬用歯磨きペーストをつけると受け入れやすくなります。

4

歯ブラシに慣れさせる

歯ブラシを見せて匂いを嗅がせ、口の中に入れる練習をします。嫌がらなければ、前歯を軽く1〜2本磨いてみます。

5

全体を磨く

慣れてきたら、奥歯まで磨きます。特に上顎の第4前臼歯(大きめの奥歯)は歯石がつきやすいので重点的にケアしましょう。

ポイント

最終的には、歯ブラシを使って歯と歯ぐきの間のすき間(歯周ポケット)までしっかり磨けるようになることを目標にします。一本一本の歯を丁寧に磨けるよう、歯みがきの時間も少しずつ長くしていけると理想的です。

歯磨きの正しい手順

歯ブラシに慣れたら、以下の手順で磨いていきます。

犬がリラックスしている時間帯を選ぶ
犬用歯ブラシと歯磨きペーストを用意する
前歯から始めて徐々に奥歯へ移動する
歯と歯茎の境目を重点的に磨く
終わったらたくさん褒めてご褒美をあげる

歯ブラシは45度の角度で当て、小刻みに動かすのがポイントです。

力を入れすぎると歯茎を傷つけるので、優しく磨きましょう。

豆知識

犬の歯は全部で42本あります。人間用の歯磨き粉は使わず、必ず犬用のものを使用してください。人間用にはキシリトールが含まれており、犬にとっては中毒症状を引き起こす危険があります。

口腔ケアグッズの選び方

歯ブラシだけでなく、さまざまなケアグッズを活用することで、効果的な口腔ケアが可能になります。

愛犬の性格や慣れ具合に合わせて、適切なアイテムを選びましょう。

歯磨きシート
  • 初心者におすすめ
  • 歯ブラシより受け入れやすい
  • 表面の汚れを除去
デンタルガム
  • 補助的なケアに最適
  • 噛むことで歯垢除去
  • 硬すぎないものを選ぶ

ケアグッズ使用時の注意点

デンタルガムは補助的な役割であり、歯ブラシの代わりにはなりません。

また、硬すぎるガムや骨は歯を折る危険があるため、手で曲がる程度の柔らかさのものを選びましょう。

口腔ケアグッズの費用目安
アイテム 価格帯 交換頻度 備考
犬用歯ブラシ ¥300〜800 月1回 毛先が開いたら交換
歯垢などが付着して変色などしたら交換
歯磨きペースト ¥500〜1,500 2〜3ヶ月 犬が好む味を選ぶ
歯磨きシート ¥400〜1,000 使い捨て 30〜60枚入りが一般的
デンタルガム ¥500〜2,000 毎日1本 サイズに注意
※目を離した状態で与えっぱなしはおすすめできません

愛犬の口臭対策と予防方法

口臭は歯周病の初期サインかもしれません。

適切なケアと予防で、愛犬の口臭を改善できます。

口臭の主な原因

犬の口臭の原因で最も多いのは歯周病です。[1]

歯垢や歯石に繁殖した細菌が、揮発性硫黄化合物という臭いの元を作り出します。

その他、腎臓や肝臓など内臓の病気が原因の場合もあります。

口臭が急に強くなった場合や、今までと異なる臭いがする場合は、歯周病以外の病気の可能性があります。動物病院で血液検査などの精密検査を受けることをおすすめします。また、歯茎が赤く腫れている、出血がある、食欲が落ちているなどの症状がある場合は、早急に受診しましょう。

効果的な予防方法

口臭予防には、日々の口腔ケアが最も効果的です。

歯磨きに加えて、以下の方法を組み合わせると良いでしょう。

ドライフードを主食にする(歯垢がつきにくい)
水をこまめに飲ませる(口内の乾燥を防ぐ)
デンタルケア用のおもちゃを活用する
3ヶ月に1回、動物病院で歯科健診を受ける

動物病院での歯石除去について

一度歯石がついてしまうと、自宅のケアでは取り除けません。

動物病院では全身麻酔下でスケーリング(歯石除去)を行います。

費用は体重や歯の状態により異なるため、かかりつけの動物病院の場合や愛犬の歯の状態の場合はどのくらいになるのか、不安な場合は事前に確認すると安心です。

ポイント

犬の歯科処置は原則、全身麻酔下で実施されます(例:スケーリングや歯周外科)。 麻酔のリスクを減らすためにも、日々の予防ケアが重要です。より安全な状況で行うために、愛犬の全身状態を正しく把握しておくことも大切です。定期的な健康診断も加えて行い、麻酔を用いた処置の可否も判断できるようにしておくことをおすすめします。

よくある質問

子犬の頃から歯磨きを始めるべきですか?

はい、乳歯が生え始める生後2〜3ヶ月頃から少しずつ始めるのが理想的です。子犬の頃から口周りを触られることに慣れておくと、成犬になってからの歯みがきもぐっと楽になります。ただ、すぐに完璧に磨けるようになるわけではなく、歯みがきは「一生続ける練習ごと」のようなものです。遊びの延長で口元に触るところから始めて、楽しみながら少しずつできることを増やしていくイメージで続けていきましょう。

歯磨きを嫌がる成犬でも慣れさせられますか?

時間はかかりますが、段階的なトレーニングで慣れさせることは可能です。まずは口周りを触ることから始め、ご褒美を使いながら少しずつステップアップしていきます。動物病院の歯磨き教室を利用するのも効果的です。焦らず愛犬のペースに合わせることが大切です。

どのくらいの頻度で動物病院の歯科健診を受けるべきですか?

個体差があるため、おおよそ3ヶ月に1回の歯科健診が推奨されています。歯石の付着状況や歯周病の進行具合を専門家にチェックしてもらうことで、早期発見・早期治療が可能になります。また、年1〜2回のプロフェッショナルクリーニング(スケーリング)を受けることで、歯周病を効果的に予防できます。

まとめ

犬の口腔ケアは、愛犬の健康寿命を延ばすために欠かせない日課です。3歳以上の犬の約80%が歯周病の予備軍という現実から、毎日の歯磨きで愛犬を守りましょう。段階的なトレーニングで口周りを触ることから始め、歯ブラシに慣れさせていくことで、初心者でも無理なく習慣化できます。理想は毎日1回、最低でも2〜3日に1回のケアを継続し、3ヶ月に1回は動物病院で歯科健診を受けることで、歯周病を効果的に予防できます。愛犬との楽しい時間を増やすためにも、今日から口腔ケアを始めてみませんか。

本記事は一般的な情報提供を目的としています。症状や治療方針は個体差が大きいため、必ず獣医師等の専門家にご相談ください。

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