結論
犬の下痢と嘔吐が同時に起きたら、まず血便・ぐったり・脱水の3つをチェック。1つでもあれば即受診。元気で水を飲めるなら12時間絶食して様子を見て、改善しなければ動物病院へ相談しましょう。
朝はいつも通りだったのに、急に吐いて、その後すぐに下痢もした。こんなとき「何かの病気?」「すぐ病院に連れていくべき?」と焦りますよね。
下痢と嘔吐が同時に起きるのは、犬の体からの「消化管全体が不調です」というサイン。片方だけなら軽い食あたりで済むことも多いのですが、両方が重なると脱水が一気に進みやすくなります。
緊急度の見きわめ方と、家庭でできる対処法をまとめました。
下痢と嘔吐の同時発生、何が起きている?
嘔吐は胃や小腸の上部、下痢は小腸の下部から大腸にかけての問題。片方だけなら空腹や食べすぎで済むことも少なくありません。
でも両方が同時となると話は別。消化管の上から下まで広い範囲に何らかの刺激や炎症が広がっている可能性があります。
特に注意したいのが脱水です。嘔吐で水分を外に出し、下痢でも水分を失う。つまり、上からも下からも一気に水分が抜けていく状態。獣医学の研究では、嘔吐と下痢が24時間以上続くと脱水が急速に進むとされています。
うんちの状態でいえば、便の硬さを7段階で評価するPurina(ピュリナ)スコアで5(拾うと崩れる軟便)〜7(水様便)に該当し、さらに血液や粘液が混じっていれば危険度は跳ね上がります。
| チェック項目 | 様子見OK | 早めに受診 | 即受診 |
|---|---|---|---|
| うんちの硬さ | やや柔らかい程度 | 泥状 | 水様・噴射状 |
| 血液の有無 | なし | すじ状に少量 | 鮮血が混在・黒いタール状 |
| 嘔吐の頻度 | 1〜2回で止まった | 半日で3回以上 | 水を飲んでも吐く |
| 元気・食欲 | 普段通り | やや元気がない | ぐったりして動かない |
| 嘔吐物の色 | 黄色い胆汁・未消化フード | 茶色い液体 | 赤い血・コーヒー色の粒状物 |
考えられるおもな原因
原因は軽い食あたりから命に関わる感染症まで幅広く、頻度の高い順に紹介します。
食べすぎ・食べ慣れないもの。散歩中に何かを拾って食べた、ゴミ箱をあさった、フードを急に切り替えた。こうした「食事の変化」が最も多い原因。帰宅してから嘔吐が始まり、数時間後に下痢も加わるのが典型的なパターンです。多くの場合、1〜2日で落ち着きます。
ストレス。引っ越し、ペットホテル、長時間の留守番。環境変化で自律神経が乱れ、消化管が過敏になることがあります。
感染性の胃腸炎。細菌やウイルスが原因。発熱を伴うことが多く、元気も食欲も目に見えて落ちます。
異物の誤飲。おもちゃの破片、靴下、ストッキング。消化管に詰まると、嘔吐を繰り返しながら下痢も併発します。異物が疑われるなら様子見せず受診を。
膵炎(すいえん:膵臓に炎症が起きる病気)。脂肪分の多い食事や人間の食べ残しのあとに起きやすく、嘔吐・食欲不振・腹痛がおもなサイン。お腹を触ると痛がるのが特徴です。
パルボウイルス(犬パルボウイルス感染症)。ワクチン未接種の子犬に多い、命に関わる感染症。1〜2日で嘔吐から血の混じった水様便へ急速に悪化します。適切な対応で生存率は70〜90%とされていますが、放置すれば命に関わります。
偽陽性に注意:食べ物で便の色が変わることも
赤い便=すべて血便とは限りません。ビーツ、トマト、赤い着色のおやつを食べた後は赤く見えることがあります。黒い便も鉄分サプリや活性炭で起きることが。判断に迷ったら、食べたものを思い出しつつ獣医師に確認を。
家庭での対処と経過観察
元気があり、水を飲める状態なら、まず家庭で以下のステップを試してみましょう。
脱水をチェックする
肩甲骨の間の皮膚をやさしくつまんで持ち上げ、離します。2秒以内にパッと戻れば正常。戻りが遅ければ脱水が進んでいる可能性あり。歯ぐきを指で触って、乾いてベタつく感触がないかも確認してください。
12時間の絶食で胃腸を休ませる
嘔吐が止まるまでフードは与えず、胃腸を休ませます。水は少量ずつ。小型犬なら大さじ1杯程度、大型犬は1/4カップ程度を1時間ごとに与えましょう。嘔吐が激しいときにがぶ飲みさせると、胃が刺激されてさらに吐く悪循環に。「少量を頻回に」が鉄則です。水すら吐く場合は動物病院へ。
回復食を少量ずつ
嘔吐が12時間以上止まったら、茹でた鶏むね肉と白米を1:2の割合で混ぜた回復食を、通常量の1/4から始めます。問題なければ数時間おきに少しずつ増やし、3〜5日かけて通常のフードに戻しましょう。
うんちの状態を記録する
回復の過程でうんちの硬さ・色・回数を記録しておくと、獣医師に相談する際の大きな手がかりになります。スマホで写真を撮っておくのも有効。
すぐ動物病院へ行くべきケース
以下のサインが1つでもあれば、すぐに受診
血が混じった嘔吐物や便(赤い鮮血・黒いタール状)/水を飲んでも繰り返し吐く/ぐったりして呼びかけに反応が薄い/お腹を触ると痛がって鳴く/12時間経っても改善しない/子犬(6か月未満)やシニア犬(7歳以上)で元気がない
特に子犬は要注意。体が小さく、体内の水分量も少ないため、成犬よりはるかに早く脱水が進みます。子犬が下痢と嘔吐を同時にしたら、「様子見」ではなく早めの受診が安全。
シニア犬も同様です。腎臓や肝臓の機能が低下していることが多く、脱水のダメージが大きくなりがち。持病がある犬は、かかりつけの獣医師に電話で相談するだけでも判断材料になります。
ワクチン未接種の犬で嘔吐と血性の下痢が急速に進む場合は、パルボウイルスの可能性があります。時間が命を左右するため、夜間でも緊急対応の動物病院を受診してください。
受診する際は、嘔吐物やうんちの写真・発症からの時間・直近で食べたもの・ワクチン接種歴をメモしておくと、獣医師がスムーズに対応できます。詳しくは「犬の胃腸炎とは?」も参考にしてください。
よくある質問
下痢と嘔吐があるのに元気で食欲もあります。受診すべきですか?
元気と食欲があるなら、まず12時間の絶食で胃腸を休ませてみましょう。24時間以内に改善傾向が見られれば、家庭での対応で乗り切れることが多いです。ただし3日以上続く場合や血便が出た場合は受診を。詳しくは「犬が下痢だけど元気で食欲もある」もご覧ください。
人間用の経口補水液を犬に与えてもいいですか?
人間用の経口補水液はナトリウム濃度が犬には高い場合があります。犬用の経口補水液が市販されているので、そちらが安全です。緊急で手に入らないときは、常温の水を少量ずつ与えてください。
本記事は一般的な情報提供を目的としています。うんちの状態には個体差があるため、気になる変化があれば獣医師にご相談ください。
まとめ
犬の下痢と嘔吐が同時に起きたら、まず血便・ぐったり・脱水の3点を確認。危険サインがなければ12時間の絶食で様子を見て、改善しなければ受診。子犬やシニア犬は早めの受診が安全です。