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猫の皮膚炎の症状・原因・治療法【獣医師監修】

愛猫の皮膚トラブルに気づいたら|初期症状から動物病院受診の目安まで

約9分
皮膚炎になってしまい、かゆそうにしている猫

この記事の監修者

増田 国充

増田 国充

ますだ動物クリニック 院長

ますだ動物クリニック

北里大学獣医畜産学部獣医学科 卒

獣医師免許愛玩動物看護師免許国際中医師国際中獣医学院日本校副校長比較統合医療学会獣医鍼灸認定医 第I種日本ペット中医学研究会学術委員日本小動物獣医師会動物診療助手認定委員会副委員長防災士

どうぶつの医療は、今よりさらによいものとなるべく日々進歩しています。 それによってこれまでに比べて寿命が大きく延長しました。 一緒にいられる時間が永くなるだけでなく、より健康で、より幸福であることが重要です。 みなさまのちょっとした気づきが、愛犬や愛猫が健やかに過ごすために欠かせません。 そんな情報を提供できればと思っております。

この記事でわかること

  • 猫の皮膚炎の初期症状と緊急度の判断基準
  • アレルギー・感染症・寄生虫など原因別の特徴
  • 動物病院での診断方法と治療費の相場
  • 自宅でできる予防ケアと食事管理のポイント

この記事は 約5分 で読めます。

愛猫が耳の後ろや首周りを頻繁に掻いている、毛が部分的に薄くなっている。

そんな様子に気づいたとき、多くの飼い主さんは「様子を見るべきか、すぐ病院に行くべきか」と悩みます。

猫の皮膚炎は早期発見・早期治療が重要です。

この記事では、獣医学論文や統計データをもとに、皮膚炎の症状・原因・治療法を詳しく解説します。

猫の皮膚炎とは?主な症状と見分け方

猫の皮膚炎は、皮膚に炎症が起こる病気の総称です。

原因はアレルギー、感染症、寄生虫など多岐にわたります。

ポイント

猫は被毛が多いため、皮膚の変化に気づきにくいことがあります。普段から撫でたりブラッシングしたりして、皮膚の状態を確認する習慣をつけましょう。

初期症状チェックリスト

愛猫に以下の症状が見られたら、皮膚炎の可能性があります。

同じ場所を繰り返し掻く、舐める、噛む
赤いブツブツ(丘疹)やかさぶたがある
部分的な脱毛や毛が薄くなっている箇所がある
フケが増えた、皮膚が油っぽくなった
耳や首の後ろを壁やカーペットにこすりつける

緊急度別の受診タイミング

症状の程度によって、受診の緊急度が変わります。

2〜3日以内に受診
  • 軽度の掻きむしりや赤み
  • 小さな範囲のフケや脱毛
  • 症状が徐々に広がっている

皮膚炎の原因|アレルギー・感染症・寄生虫

猫の皮膚炎は、主に3つのタイプに分類されます。

それぞれ原因と症状が異なるため、適切な診断が必要です。

1. アレルギー性皮膚炎

猫のアレルギー性皮膚炎には、食物アレルギー、ノミアレルギー、環境アレルゲンによるアトピー性皮膚炎があり、複数を併発することもあります 。

食物アレルギー性皮膚炎は、特に顔面・耳介・頸部に強いかゆみが現れます 。

アレルギー性皮膚炎の種類と特徴
種類 主な原因 好発部位 特徴
食物アレルギー 牛肉、鶏肉、魚、穀物など 顔面、耳、首 季節性なし
ノミアレルギー ノミの唾液 腰、背中、首 粟粒性皮膚炎
アトピー性 花粉、ダニ、ハウスダスト 顔、耳、胸、腹部 季節性あり

2. 感染性皮膚炎

細菌や真菌(カビ)による感染が原因の皮膚炎です。

皮膚糸状菌症は猫の代表的な真菌感染症で、円形脱毛が特徴的です。

感染力が強く、人にも感染する可能性があります。

注意点

皮膚糸状菌は環境中で長期間生存しうるため、徹底した環境衛生が重要。感染が確認された場合は、環境の徹底的な消毒と、同居動物の検査が必要です。

3. 寄生虫性皮膚炎

ノミ、ダニ、シラミなどの外部寄生虫が原因です。

ノミは1匹でも強いかゆみを引き起こし、完全室内飼いでも油断できません。

人が外出先から持ち込んでしまうこともあるためです。

また、ノミがついていると「猫ひっかき病」などの感染症の原因になったり、マダニがついていると SFTS(重症熱性血小板減少症候群)という命に関わる病気を引き起こすこともあります。

皮膚トラブルだけでなく、こうした病気の予防のためにも、寄生虫対策はとても大切です。

動物病院での診断と治療法

皮膚炎の診断には、問診、視診、各種検査が行われます。

原因特定が困難な場合は病理組織検査が役立ち、病理組織検査が診断に有用なこともあります。

診断の流れ

1

問診

症状の経過、食事内容、生活環境、既往歴などを詳しく確認します。

2

視診・触診

皮膚の状態、被毛の様子、寄生虫の有無を確認します。

3

各種検査

皮膚掻爬検査、毛検査、細菌培養、アレルギー検査などを実施します。

4

治療計画の立案

診断結果に基づき、最適な治療方法を決定します。

主な治療法

原因に応じて、以下の治療法を組み合わせます。

アレルギー性皮膚炎の治療には、グルココルチコイド製剤や抗ヒスタミン薬、食事療法、減感作療法などが用いられます 。

抗生物質、抗真菌薬、抗炎症薬、抗ヒスタミン薬などを症状に応じて処方します。ステロイド剤は即効性がありますが、長期使用は副作用に注意が必要です。
薬用シャンプーや塗り薬で皮膚の状態を改善します。症状に合わせた抗菌・保湿成分配合のものを選びます。
食物アレルギーの場合、8〜12週間の除去食試験を行い、原因食材を特定します。その後、アレルゲンを含まない療法食に切り替えます。

治療費の相場

「猫の皮膚炎」関連サービス・治療の費用目安
項目 目安費用 所要・頻度
軽度検査+投薬(初回・通院1~2回) 約 3,000〜10,000 円 1~2回/症状軽度時
中等度検査+投薬+シャンプー療法 約 10,000〜30,000 円 通院数回/数週間継続するケース
重度・慢性化/精密検査+継続治療 約 30,000〜100,000 円以上 数回~複数月/継続フォローが必要なケース
原因追究のための特殊検査(アレルギー・細菌培養等) 約 10,000〜50,000 円 1回/検査実施時のみ

注意点

本料金表は、公開されている統計資料・調査資料(アニコム家庭どうぶつ白書等および日本獣医師会関連資料など)をもとにした目安です。実際の診療内容・費用は動物病院ごとに異なりますので、正確な金額については必ず各動物病院にお問い合わせください。

自宅でできる予防とケア

皮膚炎の予防には、日常的なケアと環境管理が重要です。

1. 定期的なノミ・ダニ予防

おおよそ月1回の予防薬投与で、ノミやダニによる皮膚炎を防げます。

完全室内飼いでも、人間が外から持ち込む可能性があるため予防は必須です。

2. 食事管理

良質なタンパク質を含む総合栄養食を選びましょう。

被毛の大部分はタンパク質で構成されており、毛の育成と皮膚再生には多くのタンパク質が必要です 。

添加物の少ないシンプルなフードを選ぶことで、アレルギーリスクを減らせます。

3. 生活環境の整備

こまめな掃除で、ハウスダストやダニを減らします。

空気清浄機の使用も効果的です。

ストレスも皮膚炎を悪化させる要因なので、快適な居住空間を整えましょう。

13.8%
猫の皮膚疾患におけるアレルギー性皮膚炎の割合
多量
皮膚・被毛維持に必要なタンパク質

4. 日常的な観察とブラッシング

週2〜3回のブラッシングで、皮膚の状態をチェックできます。

早期発見により、軽症のうちに治療を開始できます。

よくある質問

猫の皮膚炎は完治しますか?

原因によって異なります。寄生虫や細菌感染は適切な治療で完治できますが、アレルギー性皮膚炎は完治が難しく、症状をコントロールする長期管理が必要です。食事療法や環境管理により、症状を抑えることは可能です。

人にうつる皮膚病はありますか?

皮膚糸状菌症(真菌感染)は人獣共通感染症で、人にも感染します。疥癬の原因となるヒゼンダニも人に感染する可能性があります。猫に皮膚症状が見られたら、早めに動物病院を受診し、感染の有無を確認しましょう。

シャンプーはどのくらいの頻度で行うべきですか?

猫は自分でグルーミングをするため、健康な猫には頻繁なシャンプーは不要です。皮膚炎の治療中は、獣医師の指示に従い、薬用シャンプーを使用します。一般的には2〜4週間に1回程度が目安ですが、症状により異なります。

まとめ

猫の皮膚炎は、アレルギー・感染症・寄生虫など原因が多様で、早期発見と適切な治療が重要です。頻繁な掻きむしり、脱毛、赤みなどの症状が見られたら、2〜3日以内に動物病院を受診しましょう。治療費は初診から数千円〜数万円で、長期管理が必要な場合もあります。日頃から定期的なノミ予防、良質な食事、清潔な環境を心がけ、ブラッシングで皮膚の状態を観察することが予防につながります。愛猫の小さな変化を見逃さず、快適な生活をサポートしましょう。

本記事は一般的な情報提供を目的としています。症状や治療方針は個体差が大きいため、必ず獣医師等の専門家にご相談ください。

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