結論
猫のくしゃみは、ほこりや乾燥による一時的なものなら心配いりません。ただし、鼻水・目やに・食欲の低下を伴う場合は猫風邪などの感染症が疑われます。2〜3日以上続くなら、早めに動物病院を受診しましょう。
「クシュン!」と愛猫がくしゃみをした。1回だけならいいけれど、何度も繰り返すと心配になりますよね。
猫のくしゃみには、人間と同じく生理的なものと、病気のサインであるものの2種類があります。この記事では、心配いらないくしゃみと病院へ行くべきくしゃみの見分け方、家庭でできる対策をお伝えします。
猫のくしゃみが意味すること
くしゃみは、鼻の粘膜についた異物を勢いよく外へ飛ばす反射動作。猫も人間も仕組みは同じです。
ほこりが舞ったとき、寒い場所から暖かい部屋に入ったとき、香水や柔軟剤の強い匂いを嗅いだとき。こうした刺激で1〜2回「クシュン」とするのは、ごく普通の反応。心配する必要はありません。
猫は人間よりも鼻の感覚が鋭い動物です。私たちが気づかない程度の粉塵や匂いにも反応するため、「うちの子、やたらくしゃみするな」と感じることがあるかもしれません。単発で終わるなら正常な反応がほとんどです。
くしゃみに似た症状で「逆くしゃみ」と呼ばれるものもあります。「フガフガ」と鼻を鳴らすように息を吸い込む動作で、見た目はびっくりしますが多くの場合は数十秒で自然におさまります。頻繁に起こるようなら獣医師に相談してみてください。
ただし、1日に何度も繰り返す、数日にわたって止まらない、鼻水や涙が一緒に出ている。こんなときは体のどこかに異常が起きているサイン。原因を見極めることが大切です。
くしゃみを引き起こす主な原因
猫のくしゃみの原因は、大きく4つに分けられます。
| 原因 | 特徴 | 他の症状 |
|---|---|---|
| ウイルス性感染症 | 連続くしゃみが数日〜数週間 | 鼻水、目やに、発熱、食欲低下 |
| アレルギー | 特定の環境・季節で出やすい | 透明な鼻水、くしゃみだけのことも |
| 異物・刺激物 | 突然始まり片側から出る | 片方の鼻水、鼻を前足でこする |
| 歯の疾患 | 慢性的に続く | 口臭、よだれ、食べ方の変化 |
最も多いのは、ウイルス性の上気道感染症。いわゆる「猫風邪」です。猫ヘルペスウイルスと猫カリシウイルスの2つが主な原因で、コーネル大学の猫健康センターによると、猫の最大97%が生涯のうちに猫ヘルペスウイルスに一度は感染するとされています。
猫ヘルペスウイルスに感染すると、くしゃみ・鼻水・目やに・発熱が現れます。一方の猫カリシウイルスでは、くしゃみよりも口内炎や舌の潰瘍が目立ちます。どちらも飛沫や接触でほかの猫にうつるため、多頭飼いの家庭では特に注意が必要です。
厄介なのは、猫ヘルペスウイルスの潜伏感染。一度かかると体内にウイルスが残り続け、ストレスや体調の変化をきっかけに再び症状が現れることがあります。引っ越し、新しい同居猫の登場、季節の変わり目——こうした変化で再びくしゃみが出始めることがあります。
過去に猫風邪にかかった猫は、回復後も慢性鼻炎が残ることがあります。鼻の粘膜が完全には修復されず、透明な鼻水と軽いくしゃみが続く状態です。命に関わるものではありませんが、気になる場合は獣医師に相談してみてください。
アレルギーが原因のことも
掃除のあとや芳香剤を使ったあとにくしゃみが増えるなら、アレルギーの可能性があります。猫砂の粉塵、タバコの煙、花粉なども鼻への刺激に。思い当たるものがあれば環境を見直してみましょう。
飼い主ができること
くしゃみが気になったら、まずは観察が第一歩。以下の情報を記録しておくと、受診時に獣医師へスムーズに伝えられます。
スマートフォンでくしゃみの様子を動画に撮っておくのもおすすめ。鼻水の色や量、くしゃみの間隔などを映像で確認できるため、獣医師の診断に役立ちます。
家庭でできる対策として、部屋の湿度を適度に保つことが挙げられます。空気が乾燥すると鼻の粘膜が刺激を受けやすくなるため、加湿器や濡れタオルで室内の乾燥を防ぎましょう。エアコンの風が愛猫に直接当たっていないかも確認を。
多頭飼いの場合は感染対策も重要です。猫風邪のウイルスはくしゃみの飛沫で広がります。症状のある猫は一時的に別室で過ごさせ、食器・トイレ・タオルを分けるのが基本。飼い主の手や衣類を介してうつることもあるため、お世話のあとは手洗いを忘れずに。
こんなくしゃみは病院へ
受診が必要なサイン
くしゃみが2〜3日以上続く/黄色や緑色の粘り気のある鼻水が出る/鼻血が混じる/目やにや涙が多い/食欲が落ちている/元気がなくぐったりしている。ひとつでも当てはまれば、迷わず動物病院へ。
特に注意が必要なのが子猫です。免疫力が十分に発達していないため、猫風邪が重症化しやすく、脱水や衰弱が一気に進みます。子猫がくしゃみと鼻水を繰り返しているなら、翌日まで待たずその日のうちに病院へ連れて行きましょう。
高齢猫で片方の鼻からだけ慢性的にくしゃみや鼻水が出る場合は、鼻腔内のポリープや腫瘍が隠れている可能性も。「歳だから仕方ない」と放置せず、一度検査を受けておくと安心です。
猫風邪はワクチンで予防できる
猫ヘルペスウイルスと猫カリシウイルスは、3種混合ワクチン(猫ヘルペス・カリシ・パルボの3つを予防するワクチン)の対象です。完全に防げるわけではありませんが、接種していれば発症しても症状が軽く済む傾向があります。かかりつけの動物病院で年1回の接種スケジュールを相談してみてください。
動物病院では、症状に応じて抗生物質や点鼻薬などが処方されます。鼻づまりがひどいときは、霧状にした薬を吸入させるネブライザー治療を行うことも。軽症の猫風邪なら5〜10日ほどで回復するのが一般的ですが、重症だと数週間かかる場合もあるため、早めの受診が回復への近道です。
猫風邪の詳しい症状や治療法については「猫の風邪(猫カゼ)とは?症状・原因・治療法【獣医師監修】」もあわせてご覧ください。
よくある質問
猫のくしゃみは人間にうつりますか?
猫ヘルペスウイルスや猫カリシウイルスは猫特有のウイルスのため、人間には感染しません。ただし猫同士では飛沫でうつるため、多頭飼いの場合はくしゃみが続く猫をほかの猫と離してあげてください。
鼻水が飛び散った場所の掃除はどうすればいいですか?
猫風邪のウイルスは一般的な消毒剤で不活化できます。鼻水が付いた壁や床はペット用除菌スプレーで拭き取り、食器や寝床も定期的に洗浄しましょう。また、ウイルスは乾燥した環境では比較的早く失活します。
まとめ
猫の単発のくしゃみは生理現象なので心配いりません。鼻水・目やに・食欲低下を伴う場合や2〜3日以上続く場合は猫風邪の可能性があるため、動物病院を受診しましょう。ワクチン接種と清潔な環境づくりが一番の予防策です。
本記事は一般的な情報提供を目的としています。症状や体質には個体差があるため、異変を感じたら獣医師にご相談ください。