結論
犬のうんちが緑色になる原因として最も多く挙げられるのは、散歩中などに草を食べたことによるものとされています。ただし鮮やかな緑色の下痢が続いたり、嘔吐や元気消失を伴う場合は、胆汁の消化不良や寄生虫感染も考えられます。
散歩から帰った愛犬がしたうんちが緑色——。
初めて見ると、毒物?病気?と心臓が止まりそうになるかもしれません。でも、焦る必要はないケースがほとんどです。
犬の緑便でよく挙げられる原因のひとつが、意外にも草の食べ過ぎです。一方で、稀に消化器のトラブルや寄生虫感染が隠れていることもあります。この記事では、緑便の見分け方と、様子見でよいケース・受診すべきケースの判断基準を整理します。
緑色のうんちをチェックするポイント
正常な犬のうんちの色は、茶色〜こげ茶色。
この茶色は、胆汁に含まれるビリルビンという色素が、腸内細菌によってステルコビリンという茶色の物質に変換されて生まれます。つまり腸がしっかり働いている証拠が「茶色」なのです。
緑色のうんちを見つけたら、まず以下の3点を観察してください。
この3点と、愛犬の元気・食欲を合わせて判断すると、受診の必要性が見えてきます。
| 便の状態 | 考えられる状況 | 対応の目安 |
|---|---|---|
| 草を食べた直後の1回のみ | 生理的な範囲 | 様子見でOK |
| 茶色寄りの緑で硬さも普通 | フード・色素の影響 | 1〜2日様子見 |
| 鮮やかな緑+軟便 | 消化不良・通過時間異常 | 24時間以内に受診 |
| 緑色の下痢+悪臭 | 寄生虫感染の可能性 | 早めに受診 |
| 緑便+嘔吐・元気がない | 緊急性あり | すぐ受診 |
うんちの色全体については「犬のうんちの色|茶・黒・白・黄・緑・赤でわかる健康サイン」も合わせて確認すると、全体像をつかみやすくなります。
緑色のうんちが出る主な原因
犬の緑便には、生理的なものから病的なものまで幅広い原因があります。頻度の多い順に5つ紹介します。
草の食べ過ぎ(最多原因)
散歩中に草をムシャムシャ食べる犬は多く、葉に含まれるクロロフィル(葉緑素)がそのまま便に反映されて緑色になると考えられています。犬が草を食べる理由には、胃腸の不快感を和らげる・ビタミンを補う・ストレスを解消するなど、複数の説があるとされています。
胆汁の消化不良(腸の通過時間が速い)
普段、胆汁の緑色成分(ビリルビン)は腸を通過する間に腸内細菌が分解し、茶色のステルコビリンに変化します。下痢などで腸の通過時間が速くなると代謝が間に合わず、緑色のまま排出されることがあります。
寄生虫感染(ジアルジア症など)
ジアルジアは腸内に寄生する原虫で、日本獣医師会雑誌に掲載された臨床研究でも、下痢を伴う症例が報告されています。海外の獣医資料では、軟便・粘液便・強い悪臭が特徴とされます。
フードや色素の影響
ほうれん草・ブロッコリーなどを多く食べた翌日、あるいはクロロフィル入りの歯磨きガムやおやつを与えた後は、便が一時的に緑がかることがあるといわれています。フード切り替え直後にも色の変化が起こりやすいです。
抗生物質などの投薬中
抗生物質は腸内細菌のバランスに影響を与えるため、ビリルビンからステルコビリンへの代謝がうまく進まず、便が緑がかることがあるといわれています。通常は投薬終了後に戻りますが、持続する場合は獣医師に相談しましょう。
家庭でできる観察と対処
緑便を見つけても、いきなり慌てる必要はありません。まずは落ち着いて以下をチェックしてください。
上記で異常が見つからず、「そういえば草を食べていた」と心当たりがあれば、様子見でよいことがほとんど。半日〜1日後のうんちで通常の色に戻っているかを確認しましょう。
様子見の目安は24時間
元気・食欲・飲水量に変化がなく、次のうんちが茶色に戻れば、生理的な緑便と判断できます。判断に迷うときは、便の写真を撮っておくと病院受診時に役立ちます。
ただし、うんちの硬さが変わっている場合は別です。軟便や水っぽい下痢を伴う緑便は、消化器の不調のサインであることが多く、「犬の軟便|下痢との見分け方と原因・家庭での正しい対処法」も参考に、他の症状と合わせて判断してください。
獣医師に相談すべきタイミング
緑便に加えて、以下のサインが1つでもあれば受診を優先してください。
すぐ受診を検討したいサイン
鮮やかな緑色の下痢が続く/嘔吐を繰り返している/元気や食欲がない/便に血液が混じっている/子犬やシニア犬で症状がある——これらに当てはまる場合は、様子見せず早めに受診しましょう。脱水や寄生虫感染など、家庭では対処できない状態の可能性があります。
動物病院では、まず検便によって寄生虫や異常な菌の有無を確認します。ジアルジア症は通常の顕微鏡検査では見つかりにくいことがあり、抗原検査などの追加検査が行われる場合もあります。
受診時にこれらの情報を整理しておくと、診察がスムーズです。
動物病院では、便の検査と並行して、体温・腹部の触診・脱水の有無などを総合的に評価します。治療が必要なケースでは、原因に応じた投薬や食事指導が行われます。
よくある質問
緑色のうんちが1回だけ出ました。すぐ病院に行くべきですか?
元気・食欲に変化がなく、散歩中に草を食べた形跡があれば、24時間ほど様子を見て問題ないケースが多いとされています。翌日のうんちが通常の茶色に戻っていれば、生理的な緑便と判断しやすくなります。戻らない、あるいは下痢・嘔吐を伴う場合は受診してください。
フードを変えてから緑便が出ています。問題ないですか?
新しいフードに腸が慣れるまで、数日〜2週間ほど便の色や硬さが変わることがあるといわれています。元気があり下痢が軽度なら、旧フードと新フードを混ぜて段階的に切り替え、様子を見ましょう。下痢が強い・長引く場合は獣医師への相談が安心です。
子犬の緑色のうんちは大人の犬と同じように考えていいですか?
子犬は免疫力が発達途上のため、寄生虫感染による下痢が重症化しやすい傾向があるといわれています。草食いの形跡がなく緑色の下痢が出た場合は、大人の犬より早めに受診したほうが安心です。若い子犬は脱水が進みやすいため、半日の様子見でも慎重に判断してください。
本記事は一般的な情報提供を目的としています。うんちの状態には個体差があるため、気になる変化があれば獣医師にご相談ください。
まとめ
犬の緑便の多くは、草食いなど生理的な原因です。ただし下痢・嘔吐・元気消失を伴う場合は、胆汁の消化不良や寄生虫感染が疑われます。うんちの状態と全身症状を合わせて判断し、迷ったら受診しましょう。