結論
犬が下痢をしたら、まず半日ほど胃腸を休ませてから、鶏ささみと白米を肉1:米2の割合で混ぜた回復食を少量ずつ与えます。うんちが安定してきたら5日ほどかけて通常フードに戻すのが基本の流れです。
いつもは形のしっかりしたうんちだったのに、突然べちゃっとした下痢——。「ごはんはあげていいの?」「何を食べさせたら早く治る?」と迷ってしまいますよね。
下痢のときの食事は、回復スピードを大きく左右します。適切なタイミングで消化にやさしい回復食を与えれば、多くの軽度な下痢は数日で落ち着きます。胃腸の休ませ方から回復食の作り方、通常フードへの戻し方まで、今日から使える手順をまとめました。
なぜ下痢のときに食事を変える必要があるのか
下痢は、腸が水分や栄養をうまく吸収できていない状態です。ここに普段通りの食事を入れると消化の負担がさらにかかり、回復が遅れます。とくに脂肪分の多いフードや食物繊維の多いおやつは、弱った腸にとって重荷です。
以前は24時間以上の長めの絶食がすすめられることもありました。しかし現在では、48時間を超える絶食は腸の内壁(粘膜)の回復をかえって妨げるとわかっています。
目安は半日〜24時間程度の短い休腸。脱水に気をつけながら、消化しやすい食事を早めに始めるのがよいとされています。
「何も食べさせない」より「胃腸にやさしいものを少しずつ」が大切。うんちの状態は胃腸の回復を映す鏡です。水っぽいままなら消化管はまだ苦しんでいるサイン。拾い上げても形が崩れないくらいに戻れば、回復が順調に進んでいる証拠です。
「休腸」と「絶食」は違う
半日ほど食事を控えるのは胃腸を休ませるため。水分は少量ずつ与え続けてください。丸一日以上食べさせない場合は獣医師の判断が必要です。とくに子犬やシニア犬は低血糖のリスクがあるため、自己判断での長時間絶食は禁物。
回復食の作り方と与え方
回復食のポイントは「低脂肪・高消化性」。鶏ささみ(または鶏むね肉の皮なし)と白米の組み合わせが、多くの獣医師がすすめる定番レシピです。
| 材料 | 割合 | 調理のコツ |
|---|---|---|
| 鶏ささみ(茹で) | 1 | 皮と脂身を完全に除き、沸騰したお湯で10〜15分茹でる。フォークで細かくほぐす |
| 白米(お粥状) | 2 | 通常の2〜3倍の水で炊くか、炊飯器のお粥モードで。玄米は消化しにくいのでNG |
白身魚(タラやカレイなど)もタンパク源として使えます。味付けは一切不要。茹で汁に脂が浮いていたら捨てて、きれいな水でさっと流してから使いましょう。
半日ほど胃腸を休ませる
嘔吐がなく水を少量ずつ飲めるなら、12時間程度食事を控えます。子犬(6ヶ月未満)は低血糖の危険があるため4〜6時間を上限にしてください。
回復食を少量から開始
小型犬(チワワ・トイプードルなど体重5kg以下)なら大さじ1〜2杯、中型犬(柴犬・コーギーなど5〜15kg)で大さじ2〜4杯、大型犬(ラブラドールなど20kg以上)で大さじ4〜6杯が1回の目安。これを1日4〜6回に分けて与えます。
うんちの変化を確認する
翌日以降、うんちが固まり始めたら少しずつ1回量を増やします。水っぽいまま改善しなければ、量は増やさず獣医師に相談を。
2〜3日で便が安定したら次のステップへ
拾い上げても形が崩れないくらいの硬さに戻ったら、通常フードへの移行を始めましょう。
水分補給も忘れずに。下痢では見た目以上に水分が失われます。常温の水を家の数か所に置いて、いつでも飲めるようにしておきましょう。
通常フードへの戻し方
回復食で調子が戻っても、一気に元のフードに切り替えるのはNGです。急な食事変更は腸内のバランスを崩し、せっかく落ち着いたお腹がまた壊れる原因になります。
5日ほどかけた段階的な移行がおすすめです。1日目は回復食75%・通常フード25%からスタートし、2日目に半々、3日目に回復食25%・通常フード75%、4〜5日目で通常フード100%に戻します。途中でうんちが緩くなったら1段階戻して1〜2日様子を見てください。ドライフードならぬるま湯でふやかすと、消化の負担をさらに減らせます。
避けるべき食べ物とやりがちなNG
下痢中に与えてはいけないもの
脂肪の多い肉(豚バラ・鶏皮)、乳製品(牛乳・チーズ)、繊維質の多い野菜(ゴボウ・キノコ類)、香辛料入りの人間食、玄米。いずれも消化に負担がかかり、下痢を長引かせるおそれがあります。
「早く元気になってほしい」と栄養豊富なものをたくさん食べさせたくなるかもしれません。でも下痢で疲れた胃腸に必要なのは「たくさんの栄養」ではなく「消化しやすさ」です。
人間用の整腸剤や下痢止めの薬を自己判断で使うのも避けてください。犬と人では適切な量が異なりますし、感染が原因の下痢の場合は下痢止めの薬が病原体の排出を妨げてしまうことがあります。必ず獣医師の指示のもとで使いましょう。
もうひとつ見落としがちなのが、フードの急な切り替えによる再発。新しいフードに変えるときも1週間ほどかけて少しずつ混ぜていくのが鉄則です。
以下にひとつでも当てはまれば、食事管理だけで粘らず獣医師を受診してください。下痢が2日以上改善しない。血が混じっている。嘔吐もある。ぐったりして元気がない。子犬やシニア犬である。
よくある質問
下痢のとき、水は飲ませて大丈夫ですか?
はい、水分補給は欠かせません。下痢で大量の水分が失われるため、常温の水を少量ずつこまめに与えてください。一気飲みは嘔吐のきっかけになることがあるので、小さめの器で回数を増やすのがコツです。
さつまいもやかぼちゃは回復食に使えますか?
皮を除いてしっかり加熱し、ペースト状にすれば少量なら使えます。ただし食物繊維がやや多いため、まず鶏ささみ+白米の基本レシピで便が安定してから足すようにしてください。
回復食を食べてくれません。どうすればいいですか?
鶏ささみの茹で汁(脂を除いたもの)を少しかけると、風味が増して食いつきがよくなることがあります。それでも食べない場合やぐったりしている場合は、脱水が進んでいるおそれがあるため早めに獣医師を受診してください。
回復食を続けても2日以上下痢が続く場合は?
食事管理だけでは対処しきれない原因がある可能性があります。体力や水分がじわじわ失われ続けるリスクがあるため、獣医師を受診してください。
下痢の原因や受診の判断基準については、「犬の下痢|原因・受診の判断基準・対処法と予防策を解説」もあわせてご覧ください。
本記事は一般的な情報提供を目的としています。うんちの状態には個体差があるため、気になる変化があれば獣医師にご相談ください。
まとめ
犬が下痢をしたら半日ほど胃腸を休ませ、鶏ささみと白米の回復食を1日4〜6回に分けて少量ずつ。うんちが安定したら5日かけて通常フードに戻しましょう。2日経っても改善しなければ、獣医師に相談してください。