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ペキニーズの飼い方完全ガイド|性格・病気・費用を初心者向けに解説

中国宮廷生まれの気品と独立心を持つ短頭種の飼育ポイント

約13分
こちらを見るペキニーズ

ペキニーズを飼う前に知っておきたいこと

中国宮廷で数百年にわたり門外不出だった気品ある小型犬。飼い主への愛情は深いものの独立心が強く、「猫のような犬」と呼ばれることも。短頭種ゆえの暑さ対策と毎日の被毛ケアが飼育のカギです。

ペキニーズ 基本データ

体高 15〜23cm
体重 〜5.4kg
寿命 12〜14年
価格帯 20〜35万円
原産国: 中国 グループ: 愛玩犬
運動量 ★★☆☆☆
抜け毛 ★★★★☆
しつけやすさ ★★☆☆☆
初心者向き ★★☆☆☆

「ライオンのような風貌」と称される堂々たる存在感。ペキニーズは中国の宮廷で皇帝だけが愛でることを許された、特別な犬です。

小さな体に似合わぬ気高さと頑固さを持ち合わせ、初対面では「犬らしくない」と感じる人も少なくありません。自分から甘えてくることは稀だけれど、信頼を寄せた相手にはそっと寄り添う。ペキニーズとの暮らし、その実像をまとめました。

ペキニーズの基本情報

ペキニーズの起源は古代中国。チベット原産のラサ・アプソを祖先に持つとされ、宮廷では神聖な存在として数百年にわたり門外不出の扱いを受けていました。宮廷の外に持ち出すことは重罪。まさに「皇帝の犬」です。

1860年、第二次アヘン戦争で英仏連合軍が北京を占領した際、宮殿に取り残されたペキニーズ5頭がイギリスの士官に保護されました。そのうち1頭はビクトリア女王に献上され、「Looty(ルーティ)」と名付けられて愛育されたと伝わっています。1893年にイギリスのドッグショーへ初出陳されると、その独特な風貌がたちまち注目を集め、人気犬種への道を歩み始めました。

宮廷犬のユニークな歴史

かつて中国の宮廷では、ペキニーズを袖の中に忍ばせて持ち歩く「袖犬(スリーブドッグ)」という習慣がありました。体は小さいのに、持ち上げるとずっしり重い。この不思議な特徴は何百年も前から変わっていません。

ベルギーに本部を置く世界最大級の犬籍登録団体であるFCI(国際畜犬連盟)ではスタンダードNo.207として登録され、第9グループ「愛玩犬」に分類されています。国内の犬籍登録団体であるJKC(ジャパンケネルクラブ)の犬種標準によると、理想体重はオス5kg以下、メス5.4kg以下。「小さく見えるが持ち上げると驚くほど重い」と記述されるとおり、骨量が豊富でがっしりとした体躯が特徴です。

被毛はダブルコートの長毛で、首周りのたてがみのような飾り毛が「ライオン」に例えられる理由。毛色はアルビノとレバーを除き、すべてのカラーとマーキングが認められています。ホワイト、フォーン、ブラックのほか、パーティーカラー(二色以上の配色)も人気です。日本ではJKCの犬種別登録頭数で安定した支持を集めており、独特の風貌と落ち着いた気質が根強いファンを生んでいます。

ペキニーズの性格・特徴

ペキニーズの性格を一言で表すなら、「猫のような犬」。呼んでも気が向かなければ知らん顔。膝に乗ってきたと思ったら、5分後にはひとりでお気に入りのクッションに戻っている。そんな気まぐれさこそ、この犬種の最大の魅力です。

JKCの犬種標準には「怖いもの知らずで、忠実で、超然としているが、臆病であったり、攻撃的ではない」と記されています。「超然」という言葉がこれほどしっくりくる犬種はなかなかいません。

家族の中で特定の一人を「お気に入り」に選ぶ傾向があり、その相手にだけ甘えた姿を見せることがあります。他の家族に対しては穏やかだけれど距離を置くタイプ。来客にも堂々とした態度を崩さず、小型犬にありがちなキャンキャン吠えは比較的少ない犬種です。

ただし、所有欲が強い一面も。おもちゃやフードを取られそうになると唸る個体もいます。小さなお子さんがいる家庭では、「犬のものを勝手に触らない」というルールを事前に教えておくとトラブルを防げるでしょう。多頭飼いの場合はペキニーズ同士なら比較的うまくいきますが、活発な犬種との組み合わせは慎重に。追いかけっこや激しいじゃれ合いを好まないため、穏やかな性格の犬種がベターです。

こんな人には向かない
  • 常に従順で言うことを聞く犬を求める人
  • 屋外で一緒にアクティブに遊びたい人
  • 被毛の手入れに時間をかけられない人

ペキニーズの飼い方のポイント

ペキニーズの飼育で何より大切なのは、暑さ対策と被毛のケア。この2つを怠ると、健康を大きく損なうリスクに直結します。

運動量と散歩

散歩は1日30分程度が目安。短頭種のため呼吸に負担がかかりやすく、息切れの兆候が見えたらすぐに休憩させてください。夏場の散歩は早朝か日没後に限定し、アスファルトの照り返しで肉球をやけどすることがあるため、手で地面を触って熱くないか確認してから出かけましょう。真夏の日中はどれだけ短時間でも屋外を避け、室内でのボール遊びやノーズワーク(嗅覚を使った知育遊び)で代替しましょう。

暑さ対策

短頭種のペキニーズは体温調節が苦手。人間が「ちょっと暑いかな」と感じる程度でも、ペキニーズにとっては危険な暑さです。室温は25℃以下をキープし、留守番時も必ずエアコンを稼働させてください。車での移動時も要注意で、エンジンを切った車内に数分放置しただけで熱中症を発症するケースがあります。散歩から帰ったら冷たいタオルで体を拭いてあげるのも効果的です。

被毛のお手入れ

ダブルコートの長毛は、毎日のブラッシングが不可欠。放置すると毛玉が皮膚に密着し、蒸れて皮膚トラブルの原因になります。春と秋の換毛期は抜け毛が一段と増えるため、スリッカーブラシとコームの併用が効果的です。

毎日のブラッシング(5〜10分)
顔のしわの拭き取りと乾燥(朝・夕)
目やにのチェックと除去(毎日)
月1〜2回のシャンプー
月1回の爪切り

顔のしわの間は汚れと湿気がたまりやすく、放置すると皮膚炎を起こします。湿らせたコットンで丁寧に拭き取り、しっかり乾かすのが基本。においや赤みが出てきたら皮膚炎のサインです。早めに動物病院で診てもらいましょう。

ブラッシングの具体的なやり方は「犬のブラッシングのやり方・頻度ガイド」で詳しく解説しています。

住環境

マンションでの飼育に適した犬種です。運動量が少なく、鳴き声も控えめ。ただし、フローリングは滑りやすく膝や腰に負担がかかるため、生活スペースにはカーペットやマットを敷いてください。ソファやベッドからの飛び降りも椎間板への負荷が大きいので、ステップの設置をおすすめします。

しつけのコツ

ペキニーズのしつけは「根比べ」。叱っても響かず、むしろそっぽを向かれることも珍しくありません。短時間(5分程度)のトレーニングを1日数回、おやつを使って楽しい雰囲気で進めるのがコツです。「座れ」「待て」の基本コマンドでも、他の犬種の2〜3倍の時間がかかると覚悟しておきましょう。強制は逆効果。ペキニーズの「やる気スイッチ」が入る瞬間を根気よく待つ姿勢が求められます。

ペキニーズがなりやすい病気

短頭種のペキニーズは、独特の体型ゆえに注意すべき疾患があります。特に気をつけたい病気は次の5つです。

疾患名 主な症状 好発年齢 予防・早期発見
短頭種気道症候群(鼻や喉の気道が狭く呼吸しづらくなる病気) いびき、呼吸困難、運動時の異音 全年齢 肥満防止、暑さ回避
乾性角結膜炎(ドライアイ) 目の充血、頻繁なまばたき、粘着性の目やに 中年期以降 毎日の目元チェック
進行性網膜萎縮症(目の網膜が徐々に機能を失う遺伝性疾患) 暗所での視力低下、瞳孔散大 中年期〜 遺伝子検査
膝蓋骨脱臼(膝の皿がずれる疾患) 後ろ足のスキップ歩行 全年齢 肥満防止、床の滑り防止
椎間板ヘルニア(背骨のクッションが飛び出す病気) 背中の痛み、歩行困難 3歳以降 段差回避、体重管理

特に注意したい疾患:短頭種気道症候群(BOAS)

研究では、ペキニーズの約9割が何らかの程度のBOASの影響を受けているとの報告があります。「グーグー」「ブーブー」という呼吸音が常にある、少し歩いただけで息が荒くなる、暑い日にぐったりする——こうした症状を「この犬種だから当たり前」と見過ごさないでください。重度の場合は外科手術が必要になることも。気になる呼吸音があれば、早めに動物病院を受診しましょう。

ペキニーズは大きく突出した目も特徴のひとつ。この構造ゆえに、家具の角にぶつけたり他の犬とじゃれ合った際に眼球が飛び出す「眼球脱出」を起こすことがあります。短頭種の中でもこのリスクが特に高い犬種とされており、目の周りに傷や腫れがないか毎日確認する習慣をつけましょう。

椎間板ヘルニア(IVDD)は、腰が長く脚が短い体型に起因する疾患です。椎間板のクッション材が飛び出し、神経を圧迫して痛みや麻痺を引き起こします。高い場所からの飛び降りや急な方向転換を避けることが予防の基本。抱っこのときはお尻と胸の両方を支え、腰に負担をかけないように注意してください。

歯周病も見逃せません。ペキニーズは短いあごに歯が密集しているため歯垢がたまりやすい構造です。できれば毎日の歯磨きが理想ですが、難しければデンタルガムや歯磨きシートから始めてみてください。口腔ケアの方法は「犬の歯磨き・口腔ケアのやり方ガイド」で解説しています。

本記事は一般的な情報提供を目的としています。症状や治療方針は個体差が大きいため、必ず獣医師にご相談ください。

ペキニーズの価格相場と入手方法

20〜35万円 ペットタイプの相場
約5〜8万円 初期費用の目安
約20〜30万円/年 年間維持費の目安

ペキニーズの価格は毛色や血統で大きく変動します。ブリーダー直販サイトでの平均価格は約26万円(2026年時点)ですが、人気カラーのホワイトやレアカラーは高値になる傾向。チャンピオン犬の直子になると50万円を超えるケースも珍しくありません。保護犬としてペキニーズを迎える選択肢もあるので、短頭種の飼育に理解がある方は里親サイトもチェックしてみてください。

初期費用の内訳

生体価格のほかに、ケージ・ベッド・食器類で約1〜2万円、混合ワクチン・マイクロチップで約2〜3万円、リード・トイレシート・グルーミング用品で約1〜2万円が必要です。合計で5〜8万円は見込んでおきましょう。

年間費用の内訳

フード代が年間約4〜6万円、ペット保険が約3〜5万円、ワクチン・健康診断で約2〜3万円、トリミング代が年間約5〜8万円(月1回利用の場合)、日用品が約2〜3万円。さらに、短頭種は呼吸器や眼のトラブルで通院が多い傾向にあります。急な医療費として年間3〜5万円は確保しておくのが安心です。

ブリーダー選びのポイント

ペキニーズは短頭種ゆえに、繁殖管理の質が子犬の将来の健康を左右します。見学時に注目したいのは親犬の呼吸状態。常にいびきをかいている、口を開けたままハァハァしている——こうした親犬からは、同様の呼吸器トラブルを受け継ぐリスクが高くなります。健康診断書やワクチン証明を提示してくれるか、購入後の相談に応じてくれるかも重要な判断材料です。

掲載している価格はあくまで目安です。実際の価格は血統、毛色、性別、年齢、地域、ブリーダー、時期などによって大きく異なります。

よくある質問

ペキニーズはマンションでも飼えますか?

飼えます。運動量が少なく吠えも控えめなので、集合住宅に向いた犬種です。ただしエアコンによる室温管理は必須で、夏場は25℃以下をキープしてください。フローリングには滑り防止マットも忘れずに敷きましょう。

ペキニーズは初心者でも飼えますか?

独立心が強くしつけに根気が要るため、犬の飼育経験がある方のほうがスムーズです。初めて犬を飼う方は、短頭種特有の暑さ対策と呼吸器ケア、毎日のブラッシングを「苦にならない」と感じられるかを判断基準に。迷ったら、事前に動物病院で短頭種の飼育について相談してみるのもよいでしょう。

ペキニーズの飼育費用は月にいくらかかりますか?

月額の目安は約2〜3万円です。内訳はフード代3,000〜5,000円、ペット保険3,000〜4,000円、トリミング代5,000〜8,000円、日用品2,000〜3,000円ほど。これに加え、呼吸器や眼のトラブルで通院が発生することもあるため、月3,000〜5,000円の医療費積立があると安心です。

まとめ

ペキニーズは中国宮廷生まれの気品と、猫のような独立心を併せ持つ小型犬。短頭種ゆえの暑さ対策・呼吸器ケアと毎日のブラッシングは欠かせませんが、信頼を寄せた飼い主にだけ見せる甘えた姿は格別です。適度な距離感を楽しめる方にこそ、この犬種の魅力がわかるはずです。

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