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猫の腫瘍(がん)とは?症状・原因・治療法【獣医師監修】

愛猫の異変を見逃さないために知っておきたい症状チェックリストと治療の選択肢

約9分
人間の手に寄り添う猫

この記事の監修者

増田 国充

増田 国充

ますだ動物クリニック 院長

ますだ動物クリニック

北里大学獣医畜産学部獣医学科 卒

獣医師免許愛玩動物看護師免許国際中医師国際中獣医学院日本校副校長比較統合医療学会獣医鍼灸認定医 第I種日本ペット中医学研究会学術委員日本小動物獣医師会動物診療助手認定委員会副委員長防災士

どうぶつの医療は、今よりさらによいものとなるべく日々進歩しています。 それによってこれまでに比べて寿命が大きく延長しました。 一緒にいられる時間が永くなるだけでなく、より健康で、より幸福であることが重要です。 みなさまのちょっとした気づきが、愛犬や愛猫が健やかに過ごすために欠かせません。 そんな情報を提供できればと思っております。

猫の腫瘍|初期症状から治療法まで獣医師が徹底解説

この記事でわかること

  • 猫の腫瘍の種類と初期症状の見分け方
  • 治療法の選択肢と費用の目安
  • 日常ケアと食事管理のポイント

この記事は 約6分 で読めます。

愛猫の体にしこりを見つけたとき、不安な気持ちになるのは当然のことです。

猫の腫瘍は決して珍しい病気ではありません。

適切な知識を持って早期発見できれば、治療の選択肢は広がります。

この記事では、猫の腫瘍について、症状の見極め方から治療法、日常ケアまで詳しく解説します。

猫の腫瘍とは?種類と発生率

腫瘍とは、細胞が異常に増殖してできる組織のかたまりです。

良性腫瘍と悪性腫瘍に分けられますが、猫では悪性の割合が高いことが特徴です。

猫に多い腫瘍の種類

国内の動物病院を対象とした調査では、猫の初診例の約5.6%が腫瘍症例でした[1]

その中でも特に多いのが以下の腫瘍です。

約16%前後
造血・リンパ系腫瘍の割合
80〜90%
悪性腫瘍の比率

麻布大学の研究によると、猫は犬の8.39倍もリンパ腫に罹患しやすいことが報告されています[2]

また、同大学のデータでは、乳腺腫瘍は猫の腫瘍の中で「皮膚/皮下」に次いで2番目に多いとされており、さらにその約80〜95%が悪性と言われています。

ポイント

猫の腫瘍は悪性の比率が高く、特に乳腺、頭頚部、泌尿器系、呼吸器系、消化器系での悪性率が高い傾向があります。

腫瘍ができやすい猫の特徴

腫瘍は高齢の猫に多く見られます。

研究では、腫瘍を持つ猫は健康な猫に比べて有意に高齢であることが示されています[2]

また、避妊手術を受けていない雌猫では乳腺腫瘍のリスクが約7倍高くなります[2]

猫の腫瘍の初期症状と見分け方

腫瘍の症状は発生部位によって異なります。

早期発見のためには、日常的な観察が欠かせません。

見逃してはいけない初期症状

体表や乳腺のしこり(触って気づく小さなコリコリ)
食欲低下や体重減少(数週間で明らかな体重減少)
リンパ節の腫れ(顎下、脇の下、足の付け根)
嘔吐や下痢が続く(消化器型リンパ腫の可能性)
呼吸が速い、口を開けて呼吸する(縦隔型リンパ腫の可能性)
元気がない、寝ている時間が増えた

これらの症状のうち複数が当てはまる場合は、早めに動物病院を受診しましょう。

主な腫瘍の種類別症状

乳腺腫瘍
  • 雌猫に多く、80〜95%が悪性
  • 乳腺のしこり(単発または多発)
  • 進行すると皮膚が破れ出血
  • リンパ節転移が多い
肥満細胞腫
  • 皮膚型が多い
  • 複数の部位に発生することも
  • 手術やステロイドで制御可能

注意点

猫の乳腺にしこりを見つけたら、1週間以上経っても消えない、むしろ大きくなる場合は、すぐに受診してください。悪性の可能性が非常に高いです。

猫の腫瘍の治療法と選択肢

腫瘍の治療法は、種類、進行度、猫の年齢や体力によって選択されます。

主な治療法は外科手術、化学療法(抗がん剤)、放射線治療の3つです。

外科手術による治療

固形腫瘍では、手術による切除が第一選択となることが多いです。

特に乳腺腫瘍では、片側または両側の乳腺全摘出が推奨されます。

腫瘍のサイズが2cm未満の早期発見であれば、平均生存期間は約4.5年と報告されています。

早期発見の重要性

腫瘍が3cm以上になると平均生存期間は約6か月に短縮します。小さいうちに発見することが何より大切です。

化学療法(抗がん剤治療)

リンパ腫では化学療法が中心的な治療となります。

猫のリンパ腫に対する多剤併用化学療法の完全寛解率は50〜70%です[3]

1

診断確定

細胞診や組織検査で腫瘍の種類を特定します。リンパ腫の場合、追加でウイルス検査を行います。

2

ステージング

X線、超音波、血液検査で転移の有無や病期を評価します。

3

治療計画の立案

猫の状態、飼い主の希望、通院の可否などを総合的に判断して治療方針を決定します。

4

治療開始と経過観察

定期的な検査で効果を確認しながら治療を続けます。副作用のコントロールも重要です。

放射線治療と緩和ケア

鼻腔内や脳の腫瘍など、手術が難しい部位では放射線治療が選択されることがあります。

完治が難しい場合でも、症状を和らげる緩和ケアは生活の質を保つために重要です。

痛み止め、吐き気止め、食欲増進剤などを使用して、猫ができるだけ快適に過ごせるようサポートします。

治療費の相場

「猫の腫瘍」関連サービス・治療の費用目安
項目 目安費用 所要・頻度
簡易検査+診察(しこり・皮下腫瘍疑い) 約 5,000〜30,000 円 1回/腫瘍発見時
部位/大きさある腫瘍摘出手術(良性または局所悪性) 約 100,000〜300,000 円 1回/手術時
内臓・転移の可能性ある腫瘍(摘出+入院+術後管理) 約 200,000〜500,000 円以上 1回~数回/手術+入院+経過フォロー
抗がん剤・継続治療(悪性腫瘍、リンパ腫等) 約 50,000〜100,000 円/月程度 月1回~数回/数ヶ月~継続治療時

注意点

本料金表は、公開されている統計資料・調査資料(アニコム家庭どうぶつ白書等および日本獣医師会関連資料など)をもとにした目安です。実際の診療内容・費用は動物病院ごとに異なりますので、正確な金額については必ず各動物病院にお問い合わせください。

日常ケアと予防のポイント

腫瘍と診断された猫には、適切なケアと栄養管理が欠かせません。

また、予防できる腫瘍もあります。

食事管理の基本

『腫瘍細胞は糖質(ブドウ糖)を主なエネルギー源として利用するため、低糖質・高タンパク質・高脂質の食事がいい』とする意見がありますが、栄養管理は個体差が大きいため、主治医と相談して食欲・体重・筋肉量、治療内容に応じて調整しいくのが望ましいです。

ポイント

穀物の多いフードは避け、肉や魚を中心とした食事に切り替えましょう。食欲が落ちている場合は、フードを温めて香りを立たせると食べることがあります。

自宅でできるケア

ウェットフードを温める、少量ずつ頻回に与える、好物を少量混ぜるなどの工夫をしましょう。食べやすい場所に食器を移動させることも効果的です。

獣医師に相談して適切な鎮痛剤を使用します。猫が快適に休める静かで温かい場所を用意してあげましょう。

腫瘍が皮膚に出ている場合、猫が舐めないようエリザベスカラーを使用します。出血がある場合は清潔なガーゼで保護してください。

予防できる腫瘍

若齢期の避妊手術をすることで、乳腺腫瘍のリスクが大幅に低下するため、予防効果が期待できます。

また、猫白血病ウイルス(FeLV)の感染を防ぐため、ワクチン接種と完全室内飼育が推奨されます。

注意点

24か月齢以降の避妊手術では乳腺腫瘍の予防効果はほとんど期待できません。若いうちの手術が重要です。

よくある質問

猫のしこりを見つけたら、すぐ病院に行くべきですか?

はい、特に乳腺のしこりは1週間以上消えない場合、すぐに受診してください。猫の腫瘍は悪性の割合が高く、早期発見が予後を大きく左右します。良性か悪性かは検査で判断する必要があります。

リンパ腫と診断されました。治る可能性はありますか?

リンパ腫は化学療法により50〜70%の確率で完全寛解が得られますが、完治は難しく、多くの場合は再発します[3]。ただし、適切な治療により症状をコントロールし、生活の質を保ちながら長期生存できる猫もいます。

高齢の猫でも手術は可能ですか?

年齢そのものよりも、猫の全身状態や臓器機能が重要です。術前検査で麻酔のリスクを評価し、獣医師と相談して判断します。高齢でも健康状態が良ければ手術は可能ですが、体力的な負担も考慮する必要があります。

まとめ

猫の腫瘍は悪性の割合が高く、特にリンパ腫と乳腺腫瘍が多く見られます。早期発見のためには、日常的に体を触ってしこりがないか確認し、食欲や体重の変化に注意を払うことが重要です。治療法は外科手術、化学療法、放射線治療があり、腫瘍の種類や進行度に応じて選択されます。乳腺腫瘍は若いうちの避妊手術で予防でき、リンパ腫はワクチンと室内飼育でリスクを減らせます。獣医師と相談しながら、愛猫に最適な治療とケアを選択しましょう。

本記事は一般的な情報提供を目的としています。症状や治療方針は個体差が大きいため、必ず獣医師等の専門家にご相談ください。

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