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猫の歯周病とは?症状・原因・治療法【獣医師監修】

口臭やよだれが気になる飼い主さま必見!愛猫の歯を守る完全ガイド

約10分
猫の歯周病とは?症状・原因・治療法【獣医師監修】

この記事の監修者

増田 国充

増田 国充

ますだ動物クリニック 院長

ますだ動物クリニック

北里大学獣医畜産学部獣医学科 卒

獣医師免許愛玩動物看護師免許国際中医師国際中獣医学院日本校副校長比較統合医療学会獣医鍼灸認定医 第I種日本ペット中医学研究会学術委員日本小動物獣医師会動物診療助手認定委員会副委員長防災士

どうぶつの医療は、今よりさらによいものとなるべく日々進歩しています。 それによってこれまでに比べて寿命が大きく延長しました。 一緒にいられる時間が永くなるだけでなく、より健康で、より幸福であることが重要です。 みなさまのちょっとした気づきが、愛犬や愛猫が健やかに過ごすために欠かせません。 そんな情報を提供できればと思っております。

猫の歯周病|初期症状から治療費まで完全ガイド

この記事でわかること

  • 猫の歯周病の原因と初期症状の見分け方
  • 治療方法と実際にかかる費用の目安
  • 家庭でできる予防ケアと食事管理

この記事は 約6分 で読めます。

愛猫の口から魚が腐ったような臭いがしたり、よだれが増えたりしていませんか。

それは歯周病のサインかもしれません。

猫の歯周病は珍しい病気ではなく、3歳以上の犬や猫の約8割が罹患している とされています。

放置すると歯が抜けるだけでなく、心臓や腎臓にも悪影響を及ぼす可能性があります。

この記事では、歯周病の初期症状から治療法、予防策まで、獣医学的根拠に基づいて詳しく解説します。

猫の歯周病とは?原因と症状

歯周病は、歯を支える組織に炎症が起こる病気の総称です。

初期の歯肉炎から進行した歯周炎まで、段階的に悪化していきます。

ポイント

歯周病は、歯垢(プラーク)や歯石の中の細菌が原因 で発症します。食べかすや唾液、細菌が混ざった歯垢が歯と歯茎の間に蓄積すると、炎症が始まります。

歯周病が起こるメカニズム

猫の口腔内はアルカリ性で、虫歯菌は発生しにくいものの歯周病菌が繁殖しやすい環境です。

歯垢は短期間で再付着し、早期に歯石化へ進みます。

歯石自体は直接悪さをしませんが、表面がザラザラしているため新たな歯垢が付着しやすくなります。

1

歯垢の付着

食後、歯の表面に細菌を含む歯垢が付着し始めます。この段階なら歯磨きで除去できます。

2

歯肉炎の発生

歯垢中の細菌やその毒素によって歯肉炎が起こり 、歯茎が赤く腫れます。この段階は可逆性で治療可能です。

3

歯周ポケットの形成

炎症が進むと歯と歯茎の間に隙間ができ、さらに細菌が繁殖しやすくなります。

4

歯周組織の破壊

歯の根元の歯周組織にまで炎症が拡がり歯周炎となり 、歯を支える骨まで破壊が進みます。

見逃しやすい初期症状

猫は痛みを隠すのが上手なため、飼い主が気づいた時には症状が進行していることも少なくありません。

歯茎が赤く腫れている(健康な歯茎はピンク色)
口臭が強くなった(魚が腐ったような臭い)
よだれが増えた、前足が濡れている
硬いフードを避ける、片方で噛む
歯に黄色や茶色の汚れが付いている
口を触られるのを嫌がるようになった

注意点

歯周病が重度になると、顔が腫れたり目の下に穴が開いて膿が出たりすることもあります。さらに進行すると、細菌が血液に入り込み、心臓や腎臓、肝臓などの臓器にまで病気を引き起こすおそれ があります。

歯周病になりやすい要因

若齢でも罹患率が高く、2〜3歳以上の猫の約8割に歯周病の兆候が見られるという報告があります。

年齢は0〜16歳に分布しますが、5〜10歳の発症例が有意に多い ことがわかっています。

また、糖尿病などの慢性疾患や猫白血病ウイルス(FeLV)感染症や猫免疫不全ウイルス(FIV)感染症などによって、猫の免疫力が低下している状態だとさらに歯周病になりやすくなります 。

70%
2歳以下の猫の歯周病罹患率
7.1%
飼い猫の歯肉口内炎発症率

治療方法と治療費の目安

歯周病の治療は、進行度によって内科的治療と外科的治療に分かれます。

いずれの場合も、動物病院での専門的な処置が必要です。

軽度の場合:投薬治療

軽度の歯肉炎であれば、抗生物質や抗炎症剤の投与で改善することがあります。

ただし、これはあくまで炎症を抑える対症療法です。

根本的な原因である歯垢・歯石を除去しなければ、再発を繰り返します。

中等度以上:スケーリング(歯石除去)

歯石が付着している場合は、全身麻酔下でのスケーリングが必要です。

超音波スケーラーで歯石を除去し、歯の表面を滑らかに研磨(ポリッシング)します。

なぜ全身麻酔が必要なの?

猫が動いて口の中を傷つける危険があるため、また歯周ポケットの奥深くまで確実に処置するためには、全身麻酔が不可欠です。無麻酔での歯石除去は見える部分しか処置できず、根本的な解決になりません。

重度の場合:抜歯

歯がぐらつく、歯根が露出している場合は抜歯が必要になります。

抜歯後は感染した組織を掻把し、歯肉を縫合して抜歯窩を閉鎖します。

猫は咀嚼せずに丸呑みするため、抜歯後もドライフードを食べられることがほとんどです。

※上記は目安であり、動物病院によって料金は異なります。麻酔のリスク評価のための血液検査やレントゲン検査が追加される場合もあります。

治療費の相場

「猫の歯周病」関連サービス・治療の費用目安
項目 目安費用 所要・頻度 備考
軽度歯肉炎・歯石除去(抜歯なし) 約 30,000〜40,000 円 1回/年1回程度推奨 軽度の歯周病処置として「抜歯なし」「全身麻酔検討あり」の例あり。
中等度歯周病(数本抜歯+歯周ポケット処置) 約 50,000〜80,000 円 1回/必要に応じて年1回以上 「抜歯5〜8本」の例で50,000〜80,000円という目安あり。
重度歯周病(多数抜歯・全身麻酔下) 約 80,000〜120,000 円 1回/病状進行時に実施 「抜歯10本以上」などで100,000円弱の例あり。
メンテナンス・定期ケア(歯磨き・検査) 約 10,000〜20,000 円/回 年数回/定期ケアとして 歯磨き・検査・歯石除去予防にかかる費用の目安。

注意点

本料金表は、公開されている統計資料・調査資料(アニコム家庭どうぶつ白書等および日本獣医師会関連資料など)をもとにした目安です。実際の診療内容・費用は動物病院ごとに異なりますので、正確な金額については必ず各動物病院にお問い合わせください。

予防法とデンタルケアの実践

歯周病は予防が何より大切です。

一度失った歯は生え変わりませんし、進行した歯周病は完治が困難です。

歯磨きが最も効果的

歯周病予防に最も効果的なのは、毎日の歯磨きです。

理想は1日1回、最低でも3日に1回は実施したいところです。

1週目口周りを触ることに慣れさせます。顔や口元を優しく触り、触らせてくれたらご褒美をあげましょう。

2週目歯磨き粉の味に慣れさせます。猫用歯磨き粉を指につけて舐めさせ、慣れたら犬歯1本に塗ってみます。

3週目歯ブラシを見せて匂いを嗅がせ、少しずつ口に入れる練習をします。

4週目以降前歯から少しずつ磨き始め、徐々に奥歯まで範囲を広げていきます。

注意点

歯周病で痛みがある状態では、口を触られることに嫌なイメージを持ってしまいます。若く健康なうちから始めることが重要です。

歯磨きが難しい場合の代替ケア

猫に歯磨きをするのは簡単ではありません。

どうしても難しい場合は、以下のアイテムを組み合わせて使用しましょう。

デンタルジェル
  • 口腔内の細菌増殖を抑制
  • 歯や歯茎に塗るだけで使用可能
  • 歯ブラシが苦手な猫にも
飲水添加剤
  • 水に混ぜて使用するタイプ
  • 口腔内環境を整える
  • 補助的な予防効果

食事管理も重要

柔らかいウェットフードばかりだと、歯垢が溜まりやすくなります。

ドライフードを噛むことで、ある程度の歯垢除去効果が期待できます。

缶詰タイプ食餌給与例では歯肉口内炎の発生率が高い傾向を示した という研究結果もあります。

健康な歯を保つためには、ドライフードとウェットフードをバランスよく与えることが大切です。

定期的な動物病院での検診

家庭でのケアと並行して、少なくとも年1回は動物病院で口腔内をチェックしてもらいましょう。

歯周病は歯茎の下で進行することも多く、見た目だけでは判断が難しいためです。

よくある質問

若い猫でも歯周病になりますか?

はい、なります。若年性歯周病は若齢でも発症することがあり、重度の歯肉炎や歯周炎が見られるケースがあります。放置すると急速に悪化するため、若いうちからの予防ケアが重要です。

歯周病は腎臓病と関係がありますか?

歯周病のある猫は歯周病のない猫よりも慢性腎臓病(CKD)のリスクが高く、歯周病のステージ3および4の猫がもっともリスクが高いことが研究で示されています。歯周病菌が血流を通じて腎臓に影響を与える可能性があるため、早期の治療が大切です。

抜歯後、猫はちゃんと食べられますか?

ほとんどの猫は問題なく食べられます。猫は食べ物を丸呑みするため、多くの歯を抜いても食事に支障が出ることは少ないです。術後1週間程度はウェットフードやふやかしたフードを与え、徐々に通常食に戻していきます。

まとめ

猫の歯周病は3歳以上の約8割が罹患する身近な病気です。初期症状は口臭の悪化や歯茎の赤み、よだれの増加などですが、痛みを隠すため気づきにくいこともあります。治療には投薬からスケーリング、重度では抜歯が必要で、費用は2万円から10万円程度かかります。予防には毎日の歯磨きが最も効果的で、若いうちから口を触る練習を始めることが大切です。定期的な動物病院での検診と、家庭でのデンタルケアを組み合わせることで、愛猫の健康な歯を守ることができます。

本記事は一般的な情報提供を目的としています。症状や治療方針は個体差が大きいため、必ず獣医師等の専門家にご相談ください。

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