この記事でわかること
- 猫の膀胱炎の症状と原因の種類
- 動物病院での診断方法と治療の流れ
- 治療費の目安と再発予防のケア方法
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愛猫がトイレに何度も行くのに少量しか出ない、痛そうに鳴く様子を見たことはありませんか。
それは膀胱炎のサインかもしれません。
猫の膀胱炎は疾患別の保険請求額でみても上位に位置する疾患のひとつで、特に若い猫に多く発症します。
本記事では症状の見分け方から治療内容、再発予防の具体策まで詳しく解説します。
猫の膀胱炎とは?主な原因と症状
膀胱炎は膀胱の粘膜に炎症が起こる病気です。
排尿困難、頻尿、血尿などの症状が現れます。
猫の下部尿路疾患のうち約60%が原因不明の特発性膀胱炎と報告されています。
ポイント
特発性膀胱炎は2〜7歳の若い猫に多く、オス猫や去勢済みの猫、肥満傾向の猫でリスクが高まります。10歳を超えた猫での発症は稀です。
膀胱炎の主な症状
愛猫に次のような様子が見られたら、膀胱炎の可能性があります。
正常な猫の排尿回数は1日2〜3回程度です。
排尿回数は個体差が大きいが、4回はグレーゾーン、5回以上は頻尿である可能性があります。
特に雄猫の場合、尿道が細いため閉塞を起こすと命に関わります。
排尿が全くない場合は緊急受診が必要です。
膀胱炎の原因
猫の膀胱炎は原因により大きく3つに分類されます。
特発性膀胱炎は原因が特定できない膀胱炎で、ストレスが主な誘因と考えられています。
引っ越しや来客、同居猫との不仲、トイレ環境の変化などが発症リスクを高めます。
ペルシャ、マンクス、ヒマラヤン、ロングヘアー種でリスクが高く、シャム猫では低いと報告されています。
細菌性膀胱炎は尿道から侵入した大腸菌やブドウ球菌が膀胱で増殖して起こります。
若齢では稀ですが、高齢猫では細菌性膀胱炎の併発が増える傾向があります。
糖尿病や免疫抑制状態の猫で発症しやすい傾向があります。
結石性膀胱炎は膀胱内に形成された結晶や結石が粘膜を傷つけて炎症を起こします。
ストルバイトやシュウ酸カルシウムが代表的な結石です。
食事のミネラルバランスや尿のpH値が結石形成に影響します。
注意点
トイレが1つしかない、仲の悪い同居猫がいる、神経質な性格、室内飼育のみ、水分摂取が少ない、肥満体型といった環境要因が重なると発症リスクが極めて高くなります。活動性が低い猫や、引っ越しを繰り返した猫も要注意です。
動物病院での診断と治療方法
膀胱炎が疑われる場合、動物病院では問診から始まります。
いつから症状があるか、生活環境の変化はあったかなど詳しく聞かれます。
可能であれば排尿時の様子を動画に撮っておくと診断の助けになります。
診断の流れ
問診と身体検査
症状の詳細と生活環境について聴取し、腹部の触診で膀胱の状態を確認します。膀胱炎の場合、触診時に痛みを伴うことが多く、触った後に排尿することもあります。
尿検査
尿のpH値、比重、血尿の有無、結晶の種類を顕微鏡で確認します。細菌感染が疑われる場合は尿培養検査も実施します。
画像検査
必要に応じてX線検査や超音波検査で結石の有無や膀胱壁の厚さを評価します。慢性の特発性膀胱炎では膀胱壁の肥厚が認められることがあります。
特発性膀胱炎は他の病気を除外した上で診断される除外診断です。
現在のところ確実な診断法は確立されていませんが、東京大学の研究により尿中バイオマーカーの開発が進められています。
治療方法
治療は原因により異なります。
細菌性膀胱炎の場合は抗生物質を1〜2週間投与します。
症状が消失し尿検査で異常がなくなれば治療終了です。
薬が苦手な猫には長時間作用型の抗菌薬製剤もありますが、日本で猫に承認されている適応は主に皮膚感染症で、膀胱炎(UTI)への使用可否は獣医師判断となります。
結石性膀胱炎では結石の種類により治療法が変わります。
ストルバイト結石は療法食で溶解可能ですが、シュウ酸カルシウム結石は外科手術が必要です。
結石が尿道を塞いでいる場合は、カテーテルによる緊急処置を行います。
特発性膀胱炎の治療は痛みの緩和と環境改善が中心です。
鎮痛剤としてブプレノルフィンやブトルファノールなどのオピオイド系薬剤を使用します。
難治性の症例では抗うつ薬のアミトリプチリンが有効な場合があります。
多頭飼育環境の見直しやストレス軽減対策を並行して行います。
獣医療の豆知識
特発性膀胱炎の約50%は治療の有無に関わらず5〜7日以内に自然治癒しますが、再発率も約50%と高いため、環境改善が重要です。症状が強くなったり弱くなったりを繰り返す特徴があります。
治療費の相場
| 項目 | 目安費用 | 所要・頻度 |
|---|---|---|
| 軽度通院(診察+尿検査+内服薬) | 約 2,000〜10,000 円 | 1~2回/数日~1週間程度 |
| 中等度処置(抗生剤・消炎剤+点滴等) | 約 10,000〜20,000 円 | 通院数回/1〜2週間程度 |
| 重度・尿道閉塞・入院・手術を伴うケース | 約 100,000円以上(〜300,000円以上) | 1回~数日~入院含む/場合によって数回通院・手術あり |
| 再発予防・フォローアップ(検査+処方食等) | 約 3,000〜10,000 円/月 | 月1回または数ヶ月に1回/継続管理時 |
注意点
本料金表は、公開されている統計資料・調査資料(アニコム家庭どうぶつ白書等および日本獣医師会関連資料など)をもとにした目安です。実際の診療内容・費用は動物病院ごとに異なりますので、正確な金額については必ず各動物病院にお問い合わせください。
予防のための食事管理
再発予防のための食事管理
膀胱炎は再発しやすい病気です。
予防には水分摂取量を増やすことが最も重要です。
ウェットフードは飲水量と尿量を増やし尿比重を下げることで、膀胱炎の再発を抑える効果がある、との報告もあります。
- ウェットフード中心の給餌
- 膀胱炎用療法食の利用
- 複数箇所への給水器設置
- 新鮮な水の常備
- 自動給水器の活用
- ミネラル過多のおやつ(煮干しなど)
- 塩分の多い人間の食べ物
- 長時間放置した水
- 甘味料入りの水
猫は甘味を感じる味蕾がないため、水に甘味を加えても飲水量は増えません。
一方で塩味は感じるため、猫用ペースト状おやつをぬるま湯で薄めたり、鶏ささみのゆで汁を冷まして与えたりすると効果的です。
最近開発された多目的尿路療法食は、EPA/DHAなど抗炎症作用のある成分を含み、再発予防に有効です。
これらの療法食は長期間の維持食としても使用できるため、同じ食事を家庭内のすべての猫に給餌できる利点があります。
環境改善のポイント
環境の見直しも再発予防に欠かせません。
ポイント
トイレは猫の頭数プラス1個を目安に設置し、こまめに清掃することが推奨されます。猫は清潔なトイレを好むため、排泄を我慢しないよう配慮が必要です。トイレのサイズは猫が体を十分に回転でき、姿勢を崩さず排泄できる広さを選びましょう。
フルカバータイプは匂いがこもるため、ハーフカバーまたはカバーなしのタイプがおすすめです。
猫砂は細かい砂状のものを好む傾向があります。
ストレス軽減のため、隠れ場所や上下運動できる空間の確保も重要です。
合成フェイシャルフェロモン製剤(フェリウェイ)を部屋に設置することで、不安を軽減できる場合があります。
よくある質問
膀胱炎は自然に治りますか?
特発性膀胱炎の場合、約半数は5〜7日以内に自然治癒します。ただし再発率も約50%と高いため、症状がある場合は動物病院で原因を特定し、適切な治療と予防策を講じることが大切です。尿道閉塞を起こすと命に関わるため、排尿が全くない場合は緊急受診してください。
オス猫とメス猫でリスクは違いますか?
細菌性膀胱炎はメス猫に多く見られます。メスはオスに比べて尿道が短く、さらに尿道自体も太いため、外から細菌が侵入しやすいのが原因の一つです。一方、オス猫は尿道が細く長いため、結石や炎症物質で尿道が閉塞しやすく、特発性膀胱炎では雄のリスクが高いと報告されています。去勢済みのオス猫は尿道がさらに細くなるため特に注意が必要です。
療法食はずっと続ける必要がありますか?
膀胱炎の種類や再発状況により異なります。特発性膀胱炎で再発を繰り返す場合は、長期的な療法食の継続が推奨されます。最新の多目的尿路療法食は維持食としても使用できるため、かかりつけの獣医師と相談しながら継続の可否を判断してください。結石の種類によっては溶解後に通常食に戻せる場合もあります。
まとめ
猫の膀胱炎は頻尿や血尿などの症状が特徴で、約60%が原因不明の特発性膀胱炎です。若い猫に多く、ストレスが主な誘因とされています。動物病院での診断は問診、尿検査、画像検査で行い、治療費は初診で5,000〜7,000円、重症例では10万円以上かかることもあります。再発予防にはウェットフード中心の食事、十分な水分摂取、清潔なトイレ環境の維持が重要です。トイレは猫の頭数プラス1個を目安に設置し、体長の1.5倍以上のサイズを選びましょう。愛猫のトイレの様子を日頃から観察し、異変に気づいたら早めに動物病院を受診しましょう。
本記事は一般的な情報提供を目的としています。症状や治療方針は個体差が大きいため、必ず獣医師等の専門家にご相談ください。
